2005 Fiscal Year Annual Research Report
哺乳動物卵の形態を司る細胞骨格ネットワーク制御機構の解明
Project/Area Number |
17580243
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
鈴木 裕之 弘前大学, 農学生命科学部, 教授 (50211313)
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Keywords | 哺乳動物 / 卵子 / 胚 / 細胞骨格 / 微小管 / マイクロフィラメント / ミトコンドリア |
Research Abstract |
本年度は,発生時期の異なる哺乳動物卵におけるミトコンドリアと細胞骨格との関連を追及した。 1.ブタ卵の成熟過程におけるミトコンドリア(MT)と細胞骨格の分布変化 未成熟卵では,MTは卵細胞質全体に分布していたが,成熟卵の約60%で,卵細胞質表層の分布密度が低下した。一方,微小管は未成熟卵では細胞質全体に分布していたが,成熟卵では紡錘体に集中していた。マイクロフィラメントは未成熟卵では細胞膜直下に顕著で,細胞質には低密度で分布していたが,成熟後は極体放出部位に高密度で認められた。中間径繊維であるケラチンとビメンチンの分布を検討したが,MTの分布様式と大きく異なっていた。サイトカラシンD処理により,未成熟卵の細胞質表層のMTの分布密度が低下したが,遠心分離後は細胞質中央の分布も変化した。一方,ノコダゾール処理ではMTの分布に変化はなかった。また,サイトカラシンD処理した成熟卵では,MTが細胞質の一方に大きく偏在する変化を示した。したがって,卵における成熟過程中のMTは主にマイクロフィラメントによって配置が決められているものと考えられた。 2.ハムスター2細胞期胚におけるMTと細胞骨格の分布変化 観察したすべてのハムスター2細胞期胚のMTは,主に核周囲に集中していた。微小管はミトコンドリアが分布する領域と同様の部位に豊富に存在していた。マイクロフィラメントは各割球の細胞膜直下と接着面にとくに豊富に存在したが,低密度ながら核周囲にも分布していた。ノコダゾール処理により,核周囲にあったMTは細胞質表層域へ移動していた。一方,サイトカラシンD処理により,表層のMTが細胞質中央へ移動した。 以上から,細胞質の領域(細胞質中央と表層)や分裂様式の違い(減数分裂と体細胞分裂)により,MTの分布を支配する細胞骨格の種類と機能が異なることが示唆された。
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