2005 Fiscal Year Annual Research Report
高齢マウス卵子の卵核胞およびM-II核移植後に得られた胚の細胞遺伝学的正常性
Project/Area Number |
17580245
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
吉澤 緑 宇都宮大学, 農学部, 教授 (60114162)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福井 えみ子 宇都宮大学, 農学部, 助教授 (20208341)
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Keywords | マウス / M-II期核置換 / 体外受精 / 胚発生能 / 染色体異常 / 半数体 / 低倍数体 / 多倍体 |
Research Abstract |
【目的】高齢不妊患者由来卵子において、細胞質加齢による低発生能や染色体不分離による異数体発生率の上昇が報告されている。これらの異常は高齢不妊患者における妊娠率低下の一因と考えられ、妊娠率向上には高齢および若齢個体卵子間の核置換が有効と思われるが、安全性検討のためには実験動物による基礎的な研究の蓄積が必須である。特に後代への影響の観点から、核置換により再構築された卵子の細胞遺伝学的正常性は重要である。本研究では核置換技術の安全性検討の手始めとして、M-II期核置換による再構築マウス卵子の体外受精後の胚発生能と胚の細胞遺伝学的正常性を明らかにした。 【材料および方法】(BALB/c×C57BL/6J)F_1成熟雌マウス(3-5ケ月齢)、ICR成熟雄および転座染色体をホモに有する2n=38のRockefeller成熟雄マウスを使用した。過排卵処理により排卵された卵子の卵丘細胞を酵素除去し、3% Sucrose、7.5μg/ml Cytochalasin Bを添加したCZB-Hepes培地中でM-II期核板を採取し他の除核卵子の囲卵腔内に移植し、1.8-2KV/cm、50μsの直流電流で融合した。融合1時間培養後に、再構築卵子を体外受精に供し、発生した胚盤胞を染色体分析した。 【結果】551個の除核卵子のうち生存卵子数は380個(69.0%)、融合卵子数は187個(49.2%)、受精卵数は151(80.7%)であった。媒精4日後における胚盤胞への発生率は70.2%(106/151)であり、胚盤胞の染色体分析における中期像出現率は96%(96/100)、分析可能率は91.7%(88/96)、正常胚は79.5%(70/88)、染色体異常胚は20.5%(18/88)であった。染色体異常には半数体(2/18)、低倍数体(4/18)、多倍体(11/18)、倍数性モザイク(1/18)が観察された。 これらの成果は、平成17年11月に熊本大学で行われた第50回日本不妊学会総会・学術講演会において、口演発表演題に選ばれて発表された。現在、国際誌への投稿準備中である。
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