2007 Fiscal Year Annual Research Report
ブタ体外成熟卵子の体外受精時における多精子受精抑制に関わる因子の解明
Project/Area Number |
17580247
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
建本 秀樹 University of the Ryukyus, 農学部, 准教授 (70227114)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
仲田 正 琉球大学, 農学部, 教授 (70045136)
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Keywords | ブタ卵子 / 透明帯 / 糖タンパク質 / 成熟 / 精子侵入 / 先体反応 / tunicamycin |
Research Abstract |
これまでの我々の研究で,精子ヒアルロニダーゼに対する強い抗ヒアルロニダーゼ効果は,透明帯へ糖鎖結合した精子で引き起こされる先体反応を抑制する作用機序を介してブタ体外受精時の多精子侵入の頻度を効果的に減少させることを明らかにした。そして,精子-透明帯間の糖鎖結合には透明帯構成糖タンパク質のGlcNAc末端が関与しており,このGlcNAc末端の透明帯反応に伴う変化は非常に遅延して起きていることが明らかとなった。すなわち,このことが多精子受精を引き起こす原因と考えられた。そこで本研究は,卵成熟時の透明帯構成糖タンパク質の糖鎖末端の変化に着目し,精子-透明帯間の糖鎖結合の視点から透明帯の成熟について検討すると共に,体外受精時のブタ卵子における多精子受精抑制に関わる受精機序を追究した。 その結果,糖タンパク質のN型糖鎖形成を10μg/ml tunicamycin処理で阻害する条件下で成熟培養を行った卵子の核成熟ならびに透明帯硬化への影響は観察されなかったが,これら卵子における体外受精後の精子侵入率は著しく低下した。一方,卵成熟培養時に経時的にtunicamycin処理を行ったところ,卵核胞崩壊(GVBD)を誘起した卵子ではtunicamycin処理による精子侵入抑制への影響は検出されなかった。同様な結果は,卵成熟過程で経時的に媒精を行った場合にも認められた。また,透明帯への結合精子数ならびに結合精子における先体反応率はGVBD誘起後の卵子で有意に増加し,GV期からtunicamycinで処理された卵子ではGVBDに伴ったこれら増加反応が顕著に阻害された。 以上の結果から,GVBD誘起時には透明帯構成糖タンパク質の構造的変化,すなわち,精子-透明帯間の相互作用に関係する透明帯の成熟が起きていると推察された。
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Research Products
(9 results)