2006 Fiscal Year Annual Research Report
ブタにおけるアドレナリンβ受容体遺伝子多型の探索と皮下脂肪厚に対する効果の検討
Project/Area Number |
17580250
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization, National Institute of Livestock and Grassland Science |
Principal Investigator |
千国 幸一 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 畜産草地研究所食肉プロテオーム研究チーム, チーム長 (40355061)
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Keywords | 脂肪 / 遺伝子 / アドレナリン受容体 |
Research Abstract |
アドレナリンβ受容体(ADRB1、ADRB2、ADRB3)は脂質分解およびエネルギー代謝に関連するシグナル伝達系の一部として働き、ヒト遺伝子における変異は肥満を引き起こすことが知られている。本研究課題では、このアドレナリンβ受容体の変異がブタの皮下脂肪の厚さを決定する因子となりうるかを検討した。前年度に決定した塩基配列の多型の内、アミノ酸変異を引き起こす多型について、遺伝子型と皮下脂肪の厚さの関係をデュロック種と金華豚種のF2集団を用いて調査した。試験に用いたデュロック種と金華豚種の交雑種は静岡県においてQTL解析用に作成されたF2集団で、204頭から構成され、様々な形質の測定が行われた。この中から平均背脂肪厚が40mm以上の厚脂グループ24頭と背脂肪厚30mm未満の薄脂グループ24頭を選び、グループ間でアドレナリンβ受容体多型の発現頻度を比較した。ADRB1にはArg458Proの多型が存在し、交雑種の遺伝子頻度を調べるとPro型とArg型の比率は厚脂グループで0.54:0.46、薄脂グループで0.40:0.60となり、両グループ間で頻度が異なる傾向が認められた。また、厚脂グループおよび薄脂グループ内それぞれで、Pro型とArg型の背脂肪厚を比較するとPro型はArg型よりも約1mm厚い値を示した。以上のことから、ADRB1における多型はブタの皮下脂肪厚に影響する候補遺伝子になりうると考えられた。ADRB2においてもアミノ酸変異を伴う2カ所の多型が存在していた。この多型は連続しており、試験に用いたF2集団では、Asn29AspとLys30Gluの変異であった。厚脂グループでは薄脂グループに比べ29Asn、30Gluの頻度が高い傾向が認められたが、統計的には有意とならなかった。ADRB3は試験グループ内でほとんど多型が認められず、頻度比較の結果を得ることができなかった。
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