2006 Fiscal Year Annual Research Report
牛におけるメラトニンの視床下部-下垂体軸調節機能の解明
Project/Area Number |
17580251
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Research Institution | National Institute of Agrobiological Sciences |
Principal Investigator |
粕谷 悦子 独立行政法人農業生物資源研究所, 動物科学研究領域・脳神経機能研究ユニット, 主任研究員 (90355743)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
櫛引 史郎 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 畜産草地研究所・栄養素代謝研究チーム, 上席研究員 (30355218)
須藤 まどか 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 畜産草地研究所・栄養素代謝研究チーム, チーム長 (40355087)
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Keywords | メラトニン / ウシ / 成長ホルモン / 視床下部 / 下垂体 / 第3脳室 / 神経内分泌 / 脳定位手術 |
Research Abstract |
本研究の目的は、体外の光環境を体内に伝えるシグナル物質であるメラトニンが、牛視床下部-下垂体軸に作用して成長ホルモン(GH)を始めとする下垂体ホルモン分泌調節にどのように関わっているかを明らかにすることであった。平成17年度には、牛に脳定位手術を施す独自の方法を用いて慢性的に留置した第3脳室内カニューレを介してメラトニンの脳室内投与を行い、外因性のメラトニンが視床下部を介してGH分泌を刺激することを明らかにした。 本年度は、夜間に亢進し日中に低下するというメラトニン分泌のサーカディアンリズムに着目し、内因性メラトニン分泌リズムと、GH及びプロラクチン(PRL)分泌リズムとの関係を明らかにするため、以下の実験を行った。すなわち、明暗条件(6:00点灯、18:00消灯)及び生活時間にあわせて2区(明期=昼間、暗期=夜間)を設定し、それぞれの区において4時間にわたり経時的に採血を行い、血中メラトニン・GH・PRL濃度を測定した。また、GH分泌のサーカディアンリズムにおける視床下部の役割を検討するため、上記の2区においてGH放出ホルモン(GHRH)負荷試験を行い、GH分泌反応を検討した。メラトニン濃度は、ウシにおいて昼間に高く夜間に低いという典型的な分泌パターンを示した。また、GH分泌は夜間に、PRL分泌は昼間に亢進するという日内変動が見られた。牛GHRH投与により、血漿中GH濃度は、昼間・夜間のいずれにおいても有意に増加した。GHRHに対するGH分泌反応は、夜間において亢進する傾向にあった。 以上のことから、牛の下垂体ホルモン分泌には日内変動があり、特にGH分泌リズムには、少なくとも一部は視床下部を介したメラトニンの作用が関与していることが示唆されたが、詳細なメカニズムについてはさらに検討の必要がある。
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