2006 Fiscal Year Annual Research Report
不安定膀胱の病態発生に関わるムスカリン受容体サブタイプの役割
Project/Area Number |
17580253
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
海野 年弘 岐阜大学, 応用生物科学部, 助教授 (90252121)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小森 成一 岐阜大学, 応用生物科学部, 教授 (70195866)
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Keywords | ムスカリン受容体 / サブタイプ / ノックアウトマウス / 膀胱平滑筋 / 不安定膀胱 / 収縮反応 / 膜電位反応 / 陽イオンチャネル |
Research Abstract |
本研究では、膀胱平滑筋におけるコリン作動性神経-平滑筋情報伝達におけるムスカリン受容体サブタイプの機能的役割を明らかにし、尿失禁治療薬の新たな開発戦略を提供することを目的とした。得られた成果の概要は次の通りである。(1)これまで、膀胱平滑筋の収縮はもっぱらM_3受容体を介して発現すると考えられてきた。しかし、サブタイプ欠損マウスを用いて解析した結果、M_2受容体も収縮の発現に関わっていることが明らかとなった。不安定膀胱では、M_2受容体の発現が増加しているという報告を併せて考えると、尿失禁の治療薬としてM_3よりもM_2受容体を標的とした方がよりマイルドな治療薬となる可能性が考えられた。(2)M_2およびM_3受容体刺激による収縮反応は、膜の脱分極と電位依存性Caチャネルの開口による細胞外からのCa^<2+>流入がいずれの収縮にも重要であることが明らかとなった。(3)膜の脱分極を引き起こすイオンチャネルの同定を試みた結果、ムスカリン受容体刺激により非選択的陽イオンチャネルが開口することが明らかになった。このチャネルは、腸管平滑筋においてすでに同定されている陽イオンチャネルとは性質が異なっており、膀胱では別のタイプの陽イオンチャネルが活性化されていると考えられた。また、このチャネルの開口にはM_2およびM_3両受容体の活性化が関与していることも明らかとなった。(4)ムスカリン受容体刺激による膜の脱分極は、単一細胞の場合に比べ、組織標本で有意に小さくなることが明らかとなった。この結果は、組織標本では脱分極反応を抑制するような機構が作動していることを示しており、不安定膀胱の病態発現にこの抑制機構の破綻が関与している可能性が考えられた。以上の成果は、第80回日本薬理学会に発表するとともに3編の学術論文として公表した。また、専門誌への投稿を現在準備中である。
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Research Products
(3 results)