2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17580260
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
加藤 啓子 大阪府立大学, 生命環境科学研究科, 助教授 (90252684)
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Keywords | 神経可塑性 / てんかん / 神経回路 / 脳内物質 / モデルマウス |
Research Abstract |
本研究者は、神経回路網の変化を伴った異常可塑性を誘導することができるキンドリングモデル(てんかんモデル)マウスに着目し、一連の神経回路内において、刺激伝搬経路中に存在する複数の神経核に生じる情報の流れを物質レベルで検討し、神経可塑性の獲得過程の解明を目指すものであった。平成17年度は、プローブ装着・扁桃体キンドリングマウス作成の検討を行った。具体的な結果は、キンドリング刺激電極を挿入した扁桃体の投射先である海馬内に薬物投与カニューレを挿入し、神経連絡を持つ神経核間で刺激と薬物投与を同時におこなう系を作成することができた。さらに本研究者は、神経回路網の変化を伴ったてんかん誘導を起こすことができるキンドリングモデルマウスに着目し、マウス・ジーンチップアレイを実施していた。その結果、てんかん発作誘導時に大脳皮質において500倍もの発現上昇を示す遺伝子Aの存在を発見した。本年度に入って、real time RT-PCR法により、てんかん発作に連動した遺伝子Aの発現上昇を再確認する事ができたことから、平成17年度に確立した刺激・薬物投与同時注入法により、遺伝子A発現産物を脳内に投与した。具体的には、海馬に遺伝子A発現産物を投与した後、キンドリング刺激をおこなったところ、投与に依存して、キンドリング誘導が増強された。これは、キンドリング誘導時に著しい発現上昇を示す遺伝子Aが、キンドリング刺激が伝搬する回路内で、直接てんかん発作誘導に関わっていることを示すものである。現在、遺伝子Aの組織学的発現(in situ hybridization)と最終産物のWestern blotの結果と共に、論文をまとめているところである。
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