2005 Fiscal Year Annual Research Report
シバヤギ脳内のケトン体感知システムにおけるモノカルボン酸輸送担体の機能解析
Project/Area Number |
17580264
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | National Institute of Agrobiological Sciences |
Principal Investigator |
大蔵 聡 独立行政法人農業生物資源研究所, 生体機能研究グループ, 主任研究官 (20263163)
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Keywords | 性腺刺激ホルモン / 栄養 / ケトン体 / モノカルボン酸輸送担体 / シバヤギ / PCR / RT-PCR / 塩基配列 |
Research Abstract |
低栄養状態にある動物では、低栄養に関する情報が何らかの末梢のシグナルによって脳に伝達され、性腺刺激ホルモン分泌を司る脳内神経機構の活動が抑制される。単胃動物では低栄養時に血糖値が低下すると、脳ではケトン体の利用が増加することから、ケトン体が低栄養を伝達するシグナルの一つと考えられている。しかし、血糖値が常に低値に保たれている反芻動物において同様の機構が存在するのかは明らかでない。脳内へのケトン体輸送はモノカルボン酸輸送担体(monocarboxylate transporter, MCT)により行われる。本研究の目的は、反芻家畜の実験動物モデルであるシバヤギにおいてMCT遺伝子cDNAの同定と、脳における遺伝子発現の解析を行い、低栄養シグナルとしてのケトン体の役割および脳内のケトン体感知機構におけるMCT分子の機能を解明することにある。本年度は、まず、成熟雌シバヤギ視床下部組織より調製した全RNAから作成したcDNAに対して、他哺乳類の1型MCT(MCT1)と相同性の高い合成プライマーを作成してPCRを行った。また、シバヤギの各種組織の全RNAを用いてRT-PCRを行い、MCT1遺伝子の発現を調べた。その結果、シバヤギMCT1の全コード領域(1506塩基)を含むcDNAの塩基配列を決定した。推定アミノ酸配列は、ウシおよびヒツジのそれらと高い相同性(≧97%)を示し、12カ所に予想される膜貫通領域も保存されていた。MCT1遺伝子転写物はどの臓器でも確認されたが、臓器間で発現量に差があり、肝臓、筋では肺、腎臓に比べて発現レベルが高いようであった。現在、2型MCT(MCT2)の部分構造も明らかにしており、それらの塩基配列情報を用いてin situ hybridization解析を行い、シバヤギ脳内におけるMCT1およびMCT2 mRNA発現の局在を検討する予定である。
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