2007 Fiscal Year Annual Research Report
シバヤギ脳内のケトン体感知システムにおけるモノカルボン酸輸送担体の機能解析
Project/Area Number |
17580264
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
大蔵 聡 Nagoya University, 大学院・生命農学研究科, 准教授 (20263163)
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Keywords | 栄養 / 性腺刺激ホルモン / 性腺刺激ホルモン放出ホルモン / ケトン体 / モノカルボン酸輸送担体 / シバヤギ |
Research Abstract |
低栄養状態にある動物では、低栄養に関する情報が何らかの末梢のシグナルによって脳に伝達され、性腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)分泌を司る脳内神経機構(GnRHパルスジェネレーター)の活動が抑制される。単胃動物では低栄養時に血糖値が低下すると、脳ではケトン体の利用が増加することから、ケトン体が低栄養を伝達するシグナルの一つと考えられている。しかし、血糖値が常に低値に保たれている反芻動物において同様の機構が存在するのかは明らかでない。脳内へのケトン体輸送はモノカルボン酸輸送担体(monocarboxylate transporter, MCT)により行われる。本研究の最終的な目的は、反芻動物の実験動物モデルであるシバヤギにおいて、MCT遺伝子cDNAの同定と、脳における遺伝子発現の解析を行い、低栄養シグナルとしてのケトン体の役割および脳内のケトン体感知機構におけるMCT分子の機能を解明することにある。本年度は、MCTを介するシバヤギ脳内へのケトン体の移行がGnRH分泌抑制に関与することを確かめるため、ケトン体の脳室内投与がGnRHパルスジェネレーター活動におよぼす影響を電気生理学的手法により調べた。その結果、シバヤギの脳室内にβ-ヒドロキシ酪酸(80μmol/h、5時聞)を投与すると、GnRHパルスジェネレーターの活動が抑制された。このとき,末梢血中のケトン体濃度には変化がないことから、脳室内に投与したβ-ヒドロキシ酪酸は脳内でその効果を現すと考えられた。この結果は、反芻動物の脳内にはMCTを介するケトン体感知システムが存在し、低栄養シグナルとしてのケトン体濃度上昇に関する情報をGnRHパルスジェネレーターに伝達する経路が存在することを示唆する。
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