2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17580273
|
Research Institution | Setsunan University |
Principal Investigator |
尾崎 清和 Setsunan University, 薬学部, 講師 (40268496)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奈良間 功 摂南大学, 薬学部, 教授 (80268490)
松浦 哲郎 摂南大学, 薬学部, 講師 (20268494)
|
Keywords | ラット / 糖尿病 / 末梢神経 / 形態計測 / インスリン |
Research Abstract |
【目的】短期の血糖コントロール実験の結果、60mg/dl以下に血糖が低下することにより顕著な神経病変が形成されることがわかった。また、その神経病変は、WBNに自然発症する病変とも異なることが明らかとなった。そこで、インスリン投与による長期間の血糖コントロールによりWBNにみられる糖尿病性末梢神経症の進行をどの程度抑制できるのかをしらべることを目的とした。 【材料および方法】 糖尿病を発症した40週齢のWBN/Kobの雄を用いる。この動物にインスリンを混ぜた樹脂(持続的なインシュリン分泌が可能な樹脂)を50週間、背部皮下織に埋め込み、持続的に血糖値を低下させた。血糖値の過度の低下を防止するために埋め込む樹脂量を調整し、100mg/dlから400mg/dl前後の動物を作製した。対照群として血糖コントロールを行っていないWBN/Kobを用いた。90週齢時に坐骨神経伝導速度(CV)を測定後、剖検し坐骨および脛骨神経病変について形態学的解析をおこなった。 【結果】 1.インスリン樹脂が40日前後しか持続的にインスリンを放出しないため、インスリン樹脂を約5回程度追加で投与した。このため血糖値は、100mg/kgから400mg/kgの間を変動した。 2.CVは対照群およびインスリン投与群で有意な差はなかった。 3.インスリン投与群では、対照群と比較して、髄鞘層板の解離、髄鞘崩壊、軸索の萎縮および神経内膜の拡大の程度が軽度となった。特に、軸索の萎縮および神経内膜の拡大の卸制は顕著であった。 4.神経病変は、坐骨神経のほうが脛骨神経より強かった。 5.脛骨神経の形態計測では各群の神経束の平均口径には変化がなかったが、インスリン投与群では神経線維面積および軸索面積が有意に高値であり、神経内膜の面積は有意に低値を示した。 【まとめ】 1.インスリン投与により、WBNラットの末梢運動神経の病変形成が顕著に抑制することが出来た。このことは、WBNラットの末梢運動神経病変が糖尿病に起因することを証明するとともに、血糖の適切な制御が末梢神経病変形成を抑制することを明らかにした。 2.WBNラットが優れた糖尿病性末梢運動神経症のモデル動物となることを明らかにした。
|