2005 Fiscal Year Annual Research Report
乳牛の分娩後初回排卵後における黄体期延長の病態と治療法の開発
Project/Area Number |
17580279
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
中尾 敏彦 山口大学, 農学部, 教授 (30094824)
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Keywords | 乳牛 / 分娩後卵巣機能 / 黄体機能 / 黄体ホルモン / 受胎 / 卵巣静止 / 黄体期延長 |
Research Abstract |
近年、乳牛の繁殖成績低下の主要な原因のひとつとして、分娩後における卵巣機能回復の遅延による無発情の増加があげられている。しかし、無発情の病態は多様であり、従来から知られている卵巣静止だけでなく、初回排卵後の黄体期延長も見られるようになったとされているが、その実態は明らかでない。本研究では、乳汁中黄体ホルモン濃度測定により、分娩後の卵巣機能回復状況を詳細に追跡し、黄体期延長の病態を、卵巣静止との比較において、明らかにしようとした。まず、1高泌乳牛群の110頭において試験を行ったところ、卵巣静止と黄体期延長の発生率は12.7%と33.6%であり、黄体期延長例では、その後の受胎成績が、正常回復例に比べ、著しく低かった。また、卵巣静止例では、分娩後エネルギー摂取不足が重度であったが、黄体期延長例では、栄養状態は比較的良好であり、子宮疾患を有するものが多かった。ついで、別の1牛群で、さらに長期間試験を行ったところ、やはり黄体期延長の発生率が高く(28.3%)、受胎率は著しく低かった。そして、黄体期延長例では、正常回復例よりも、初回排卵が早く、乳量が高かった。また、黄体期延長は、その次の周期においても再び発生することがわかった。さらに、全国各地の10の牛群において、拡大試験を行った。検査を行った396頭において、卵巣静止が29.0%、黄体期延長が17.7%に認められた。この試験においても、黄体期延長例では、正常例に比べ、受胎成績が著しく低く、栄養状態が比較的良好で、乳量が高いことと、子宮疾患を併発するものが多いことが確認された。以上の成績から、分娩後の乳牛において従来殆ど知られていなかった黄体期延長が増加しており、受胎率低下の原因となっていることと、黄体期延長の病態は、卵巣静止とは異なることが明らかにされた。
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Research Products
(4 results)