2005 Fiscal Year Annual Research Report
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17580281
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
宇根 智 山口大学, 農学部, 助教授 (60294659)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田浦 保穂 山口大学, 農学部, 教授 (80163153)
中市 統三 山口大学, 農学部, 助教授 (60243630)
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Keywords | 免疫学 / 移植・再生医療 / 免疫寛容 / 胸腺 / 糖尿病 |
Research Abstract |
ブタ-イヌ間の異種移植時に起こる超急性拒絶を起こすイヌ抗ブタ抗体と、その抗原となりうるブタ細胞上の糖鎖について検討した。 ブタ抗原としてブタ腎(PK15)細胞を用い、20種類の糖鎖を各種濃度で添加したイヌ血清のPK15細胞に対する細胞障害抑制試験を実施した。さらに糖鎖に結合することが判明しているレクチンを用い、レクチンによるイヌ血清の細胞障害抑制試験を実施した。 無処置のイヌ血清は、PK15細胞に対し、98.1%±42(mean±SD)の細胞障害率を示し、熱処理後のイヌ血清ではほとんど細胞障害を示さなかった(0.1%±0.2)。このことから、イヌ-ブタ間の細胞障害には、イヌ抗ブタ抗体と抗原、補体の関与が示唆された。N-acetyl-β-Mannosamineが47.4%と最もイヌ血清のPK15細胞に対する細胞障害を抑制し、α-D-Galactose-1-phosphate (45.2%)、Arabinogalactan (34.8%)、Galactal(ICN) (25.0%)、N-acetyl-Glucosamine (23.1%)の順で抑制した。また、それらを混合使用することにより、細胞障害率を76.5%低下させることが可能であった。一方、ヒト血清では上記糖鎖に対してそれぞれ7.3%、0.0%、30.5%、35.3%、19.3%であった。 N-acetyl-Glucosamineに特異的に結合するWGAレクチンは、ブタ細胞上に存在しているこの糖鎖への抗体の結合を競合阻害することにより、細胞障害を低下させることが可能であった。 今回の研究から、ブタ組織上にはイヌ抗ブタ抗体の特異抗原となりうる糖鎖が存在し、それらの反応はヒト抗ブタ抗体と異なることが解った。さらに今回判明した糖鎖と抗体との結合を阻害することで、超急性拒絶を起こしうる反応を抑制することが判明した。
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