2006 Fiscal Year Annual Research Report
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17580281
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
宇根 智 山口大学, 農学部, 助教授 (60294659)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田浦 保穂 山口大学, 農学部, 教授 (80163153)
中市 統三 山口大学, 農学部, 教授 (60243630)
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Keywords | 免疫学 / 移植・再生医療 / 免疫寛容 / 胸腺 / 糖尿病 |
Research Abstract |
ラ島の胸腺内移植による胸腺内抗原提示が、どのような免疫応答の変化を引き起こすかについて検討した。 8頭のNIHミニ豚をレシピエントとして使用し、同種ラ島を胸腺(胸腺群n=5)または脾臓(脾臓群n=3)に移植した。手術当日から、5日間抗豚リンパ球抗体を投与した以外は、免疫抑制剤は使用しなかった。8-11ヶ月間定期的にリンパ球混合培養検査(MLR)、細胞依存性細胞障害性試験(CML)、リンパ球混合培養後の細胞依存性細胞障害性試験(MLC-CML)、限界希釈法による反応T前駆細胞頻度測定(PTL-p)、補体依存性細胞障害試験を実施した。 MLRにおいて、胸腺群の全頭で1ヶ月後にドナーに対する反応が84%の抑制を示し、以後抑制状態のまま推移した。一方、脾臓群のドナーに対する反応は160%に上昇した。CMLでは、胸腺群は常時最小限の細胞障害を示したが、脾臓群は1ヶ月後にはドナーに対し上昇を認めた。MLC-CMLにおいて、胸腺群は1ヶ月後よりドナー対する細胞障害反応が確認不可能になり、11ヶ月間以上抑制された。脾臓群は、1ヶ月後に同種リンパ球に対し移植前と同等の細胞障害を示したが、ドナーに対しては上昇を認めた。PTL-pにおいて、胸腺群の4頭中3頭において、1ヶ月後より、確認不可能なレベルになった。他の1頭は、1ヶ月後に移植前の41%に減少し、その後全頭で確認不可能なレベルになった。脾臓群のPTL-pは、1ヶ月後にf=1/7943からf=1/870に上昇した。抗ドナー細胞障害抗体では、胸腺群の全頭で実験期間中確認できなかったが、脾臓群では1週目から確認された。 これらの結果より、膵ラ島の胸腺内移植によるドナー特異的な主要適合性抗原クラスIおよびII拘束性リンパ球のdeletionまたは非活性化の誘導が示唆された。胸腺内の膵ラ島移植片は、ドナー特異的免疫寛容の導入と維持を行なっていることが示唆された。
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