2005 Fiscal Year Annual Research Report
コケ原糸体培養のミクロとマクロにおける環境保全への適用
Project/Area Number |
17580287
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Research Institution | Nagaoka University of Technology |
Principal Investigator |
高原 美規 長岡技術科学大学, 工学部, 助教授 (20236342)
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Keywords | コケ / 原糸体 / バイオアッセイ / 建築物緑化 / 植物組織培養 |
Research Abstract |
本研究は、原糸体培養を応用してコケ植物を環境保全に役立てることを目的に行っている。コケ原糸体は菌糸状に一列に細胞が並び、先端細胞の分裂によって伸長し、先端細胞以外の細胞分裂によって新しい先端細胞を生じ分岐する。原糸体はこの2種類の細胞分裂によって樹形状に生育し、全ての細胞が外界と接しているため、外部環境の影響がその成長パターンに直接反映される。培養したコケ原糸体に、環境汚染源となる重金属イオンを与え、このミクロの樹形パターンの変化を観察することで、高感度のバイオアッセイ系を構築することができると考えている。これまでに、銅イオンでは水道水の水質基準である1ppm以下の、0.4ppm程度まで検出可能であり、カドミウムイオンでは分岐分裂よりも伸長分裂がより強く阻害されるため、その成長パターンが銅イオン添加時と区別できることを明らかにすることができた。一方、原糸体は組織・器官の分化がなく、全ての細胞が水・養分を吸収し光合成を行う独立栄養体であり、そのため非常に成長が早い。これを大量培養して面として利用できる形に加工すれば、建造物緑化資材として有用であり、マクロに展開することができればヒートアイランド現象の緩和に役立ち、また、省エネを通して炭酸ガス排出量の削減にも有効な方策を提供できる。原糸体の液体培養により、少ない培地量で多くの細胞を培養できること、不織紙をベースとして回転培養を行うことでシート状に展開できることが明らかにできた。しかし、液体培養では原糸体が絡まりあい凝集するため、増殖率がそれほど上がらないため、液体培地中での分散方法が課題として残されている。
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