2005 Fiscal Year Annual Research Report
エストロジェン類の塩素処理副生成物のエストロジェン作用に関する研究
Project/Area Number |
17580290
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
久留戸 涼子 静岡県立大学, 食品栄養科学部, 助手 (50205217)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
寺尾 良保 静岡県立大学, 食品栄養科学部, 教授 (60046282)
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Keywords | 環境汚染 / 環境ホルモン / 塩素処理 / エストロジェン / エストラジオール / エストロン / エストリオール / エチニルエストラジオール |
Research Abstract |
河川水中の環境ホルモンとして危惧される、人畜由来のエストラジオール(E2)、エストロン(E1)などは、汚水処理場等で塩素処理を受けると、塩素処理副生成物を生成すると考えられる。また、臭素イオン存在下では、臭素化が優先的に起こるとされる。18年度は、エストロジェン類の塩素処理副生成物を単離精製し、エストロジェン活性を調べた。 1.塩素処理副生成物の合成及び精製 E2、E1、エストリオール(E3)、エチニルエストラジオール(EE2)を50%メタノールに溶解し、臭化カリウム(KBr)存在下、非存在下で、次亜塩素酸ナトリウムを徐々に滴下した。HPLCで置換体の生成を確認し、反応液を処理し、中圧液クロで分離精製した。MS及びNMRスペクトルで構造決定をした。E1からは、2-ClE1、4-ClE1、2,4-diClE1、2,4,16,16-tetraClE1、10-Cl-1,4-estradiene-3,17-dione(10-Cl-3,17-dione)が単離された。KBr下では、2-BrE1、4-BrE1、2,4-diBrE1が生成した。E2、E3、EE2からは、いずれも2-Cl、4-Cl、2,4-diCl、2-Br、4-Br、2,4-diBr体が生成した。 2.エストロジェン活性、細胞増殖活性 ヒト及びメダカのエストロジェン受容体を用いたyeast two-hybridassay、及び筆者らが開発した乳癌細胞MCF7を用いたGFP発現システムにより、エストロジェン活性を測定した。いずれの化合物も、4-Cl体は元の物質と同等の活性があり、2-CL、2,4-diCL体の順に活性が低下した。E1由来の10-Cl-3,17-dioneは、E1と同等に活性があり、tetraClE1は活性が消失した。Br体ではさらに活性が消失した。MCF7の細胞増殖についても、同様の結果が得られた。
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