2006 Fiscal Year Annual Research Report
ゼロエミッション型浄化槽の細菌群集構造解析と機能向上
Project/Area Number |
17580291
|
Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
鈴木 智順 東京理科大学, 理工学部, 講師 (50256666)
|
Keywords | ゼロエミッション / 浄化槽 / 細菌群集構造 / 細菌叢 / PCR-DGGE / 16S rRNA遺伝子 / 人工汚水 / 担体 |
Research Abstract |
昨年度は木材チップまたはスポンジキューブを充填した担体槽の上部より人工汚水を注入し、そのまま落水させ、その流路上に微生物が固定することによって浄化を行っていた。この方式の浄化装置のBOD除去率は木材チップで83%、スポンジキューブで67%と、木材チップの方が高かったが、木材チップも分解を受けて何度か補充する必要があった。そこで、今年度は劣化のほとんど無いスポンジキューブを用い、担体槽の構造を改良して、浄化槽内の細菌叢解析を行った。 改良型担体槽は担体槽の最下部から逆U字型の排水管を接続し、その排水管の最高位を担体層の半分の高さに設定した。これにより、排水管の最高位を境に担体層の下部は常に液体で満たされた嫌気層となり、上部は水位の及ばない好気層となった。その際、サイフォンの原理が働かないように、U字管の頂点に小穴を開けた。本装置でのBOD除去率は概ね90%を超え、昨年度の装置よりも効果的にBODを除去することが可能になった。 PCR-DGGE解析およびBODの経日測定の結果、好気層ではphylum Bacteroidetesに含まれる細菌が常に優占種で、これら細菌がBOD除去の主要な役割を担うと考えた。その他、class Betaproteobacteria、family Bacillaceaeに含まれる細菌が常に存在した。嫌気層では、phylum Bacterioidetesの他にclass BetaproteobacteriaもBOD除去に関わると考えられ、絶対嫌気性細菌であるorder Clostridialesの存在も示唆された。 今後は本研究により示唆されたBOD除去に関わる細菌の量的な変化を解析するためにFISH法や定量的PCRを行う予定である。
|