2007 Fiscal Year Annual Research Report
哺乳類細胞致死性タンパク質の機能解析と感受性細胞検出システムの開発
Project/Area Number |
17580299
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
酒井 裕 Okayama University, 大学院・自然科学研究科, 教授 (60089117)
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Keywords | Bacillus thuringiensis / 哺乳類細胞 / ガン細胞 / 細胞死 / 細胞認識 / 受容体 / バイオテクノロジー |
Research Abstract |
Bacillus thuringiensis MM50G2株クリスタルに由来する29kDa蛋白質(MM29kD)は、T細胞由来の白血病ガン細胞Jurkatに対して強い細胞致死作用を示す。本研究ではMM29kDとGST(Glutathione-S-transferase)の融合蛋白質(GST-MM29kD)を作製、精製して実験に用いた。GST-MM29kDのJurkatに対する毒性はEC50が15.3ng/mlである。一方、別の方法で精製した遊離MM29kDはEC50が0.4-0.5ng/mlである。 MM29kDはJurkatに対して強い認識結合能があり、細胞表面に結合することが認められている。これを決定する要因は標的細胞表面の結合蛋白質であり、これがMM29kD受容体の有力候補であると考えられる。本研究ではJurkat細胞表面のMM29kD結合蛋白質の探索を行った。昨年度までの研究で、標的細胞表面のGPIアンカー蛋白質およびCD7がMM29kD結合および感受性の決定に与っていることが強く示唆され、この両者のいずれか又は両方がMM29kD受容体としての機能を果たしていると考えられた。 今年度は、MM29kDの作用過程においてCD7の役割を明らかにする為、CD7cDNA作成を行うと共に、Jurkat細胞表面へのMM29kDの結合によって標的細胞内に惹起される事象を調査した。CD7cDNAは、ORFの作製が完了し、発現ベクターの構築を試みているところである。今後CD7cDNAを、MM29kD非感受性細胞であるHEK293に導入発現させ、MM29kD感受性の変動を究明する必要が有る。 MM29kD投与によって標的細胞Jurkatがアポトーシスによる細胞死に至る事が強く示唆されている。この際、ミトコンドリアの膜損傷が認められるのでMM29kD刺激により誘導される標的細胞Jurkatの細胞内応答を調査した。MM29kD処理をしたJurkat細胞の全蛋白質を二次元ゲル電気泳動で解析し、low molecular weight protein tyrosine phosphatase (LMW-PTP)が変動することを突き止めた。さらにLMW-PTP活性がMM29kD処理によって低下する事、そしてこれがMM29kD処理によって産生誘導された活性酸素種(ROS)によることが認められた。これらのことから、MM29kDの作用でJurkat細胞内に産生したROSによってミトコンドリア膜が損傷を受け、チトクロムcが細胞質に漏出する結果アポトーシスによる細胞死が誘導されるのではないかと考えられる。
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Research Products
(10 results)