2006 Fiscal Year Annual Research Report
サイトカイン産生調節活性を有する抗原性糖鎖を利用した糖鎖薬剤の開発
Project/Area Number |
17580300
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
木村 吉伸 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 教授 (70195387)
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Keywords | 抗原性糖ペプチド / 抗原性糖鎖 / イチョウ種子糖蛋白質 / 腫瘍抗原 / T-抗原 / ローヤルゼリータンパク質 / ポリグルタミン-糖複合体 |
Research Abstract |
申請者らは花粉アレルゲン等の植物糖蛋白質に結合する抗原性糖鎖が,T細胞の分化・生育を抑制することやTh2細胞からのIL4産生を抑制することを見出し,これら植物糖鎖がアレルギー疾患の有効な治療薬になる可能性を示している。そこで,本研究課題では,ヒト細胞性免疫系に対してより高い薬理活性を有するオリゴ糖鎖を,植物糖タンパク質あるいは細胞壁成分から綱羅的に検索し,構造・機能相関を明らかにすることを目的している。平成18年度においては,抗原性糖鎖を多価数有するバイオポリマー(親水性ポリマー及びリボソーム)を調製するために,抗原性糖鎖のみを有する糖ペプチド (Man3Xyl1Fuc1GlcNAc2-Asn)の大量調製の確立を行った。既に,イチョウ種子貯蔵糖蛋白質には上記抗原性糖鎖のみが存在することを明らかにしていたため,貯蔵糖蛋白質のプロナーゼ消化物からイオン交換クロマト及び逆相HPLCを組み合わせることにより,抗原性糖ペプチドをミリグラム量調製することが可能となった。更に,18年度はローヤルゼリー中に腫瘍抗原(T-抗原)を含む新たな抗原性糖鎖を見いだし,その化学構造を決定した。今回見いだした糖鎖はこれまでに知られていないタイプの構造を有しており,ローヤルゼリーによるアレルギー症状に関わる可能性が示唆された。更に,抗原性糖鎖を多価数有するバイオポリマーを作成するために,ポリグルタミン酸と糖ペプチドとのカップリング反応について検討を加えた結果,比較的高収量でコンジュゲートを作成する条件が明らかになった。
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