2006 Fiscal Year Annual Research Report
歪んだ構造を持つアルキンを基質とした遷移金属触媒による新しい反応の開発と応用
Project/Area Number |
17590001
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
佐藤 美洋 北海道大学, 大学院薬学研究院, 教授 (90226019)
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Keywords | [2+2+2]環化反応 / ニッケル / パラジウム / アリールナフタレン / ビアリール / イソキノリン / トリメチレンメタン |
Research Abstract |
本研究課題の最終年度である本年度は,前年度に引き続きベンザイン誘導体及びその含窒素類縁体であるピリダイン誘導体に対するPd及びNi触媒を用いた環化反応の検討を行い,以下の結果を得た. (1)ベンザイン誘導体とアリルシランとのカップリング反応の開発 酢酸アリル部とアリルシラン部を併せ持つ化合物は,Pd触媒存在下トリメチレンメタン様活性種へと変換されることが既にTrostらにより報告されている.トリメチレンメタンは求核性部位と求電子性部位を併せ持つため,ベンザインとの[3+2]型環化反応の進行が期待された.そこでPd触媒存在下,酢酸アリル部とアリルシラン部を併せ持つ化合物とベンザイン前駆体との反応を試みたが,反応は全く進行しなかった.一方,塩化アリル部とアリルシラン部を併せ持つ化合物との反応を試みたところ,アリルシラン部との反応のみが進行し立体選択的にZ-ビニルシランが生成した.塩化アリル部を持たない単純なアリルシラン誘導体でも本反応は進行し,またPd触媒を添加せずとも進行することが分かった.本反応は新たな立体選択的なビニルシラン誘導体の合成法へと展開が可能であると考えられ,現在反応以降の解明と適用範囲の拡大を行っている. (2)Ni触媒を用いた3,4-ピリダイン誘導体の[2+2+2]共環化反応の開発 含窒素類縁体であるピリダイン誘導体の[2+2+2]共環化反応はこれまで全く報告されていない.研究代表者のグループでは前年度の研究においてNi触媒を用いると3,4-ピリダインの[2+2+2]共環化反応が進行し,イソキノリン誘導体が生成することを見出した.今年度は,本反応の適用範囲の拡大を目指し,様々なピリダイン前駆体を合成し反応の検討を行うとともに,もう一方の基質であるアルキンの検討も行った.その結果,様々な電子供与性置換基を持つピリダイン前駆体でも本反応が進行するのに対し,電子吸引性置換基を持つピリダイン前駆体では副反応が起こり著しい収率の低下が起こることを見出した.また,アルキンとしてアセチレンガスが利用可能であることが分かった.
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Research Products
(6 results)