2005 Fiscal Year Annual Research Report
リパーゼ触媒を用いる動的ドミノ型炭素骨格構築法の開発
Project/Area Number |
17590006
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
赤井 周司 静岡県立大学, 薬学部, 教授 (60192457)
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Keywords | リパーゼ / 環境調和型反応 / ドミノ型反応 / 動的光学分割 / ルテニウム錯体 / アリルアルコーツ / オキソバナジウム化合物 / 炭素骨格構築法 |
Research Abstract |
リパーゼに代表される加水分解酵素を触媒として利用する不斉合成法は、緩和な反応条件下、簡単な操作で、高選択的に高収率で目的物が得られ、更に触媒自身の生分解性などの利点から、環境調和型反応として最近特に注目されている。しかし、その利用法は主にアルコールやカルボン酸類の光学分割や非対称化に限られ、炭素骨格構築に利用する研究は殆ど無い。我々は、構造修飾された新規アシル化剤エトキシビニルエステルを用いてラセミ体アルコールのリパーゼ触媒光学分割を行い、生成する光学活性エステルがすぐに分子内環化反応を起こすドミノ型反応に初めて成功した。さらに、光学分割で残る一方の鏡像体を酵素反応途中にラセミ化するルテニウム触媒を見出し、動的光学分割を伴うドミノ型反応を開発した。本年度は計画に従い、リパーゼ触媒を用いる動的なドミノ型炭素骨格構築法の汎用性の確立と実用化を検討し、以下の成果を得た。 1.上記の動的光学分割を伴うドミノ型反応に用いたRu錯体は、アルコールの酸化還元反応を触媒してラセミ化を起こすが、基質の適用性が限られていた。錯体のリガンドを変えると反応性が向上することが分かってきたので、現在室温で広範囲のアルコールに有効な新規Ru錯体の開発研究を継続している。 2.オキソバナジウム化合物とリパーゼを併用することで、アリルアルコールの全く新しいタイプの動的光学分割法を開発した。本法では,リパーゼによる光学分割と併行して、バナジウム化合物がアリルアルコールの1,3-転位反応を触媒し、その過程で光学活性アルコールはラセミ化する。本法により,ラセミ体アリルアルコールから光学活性アリルエステル(91-99%ee)が80-96%の高収率で得られた.本法をドミノ型炭素骨格構築法へ発展させるべく研究を推進中である。
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