2006 Fiscal Year Annual Research Report
新規キレーション制御クライゼン転位反応を基軸とする天然物合成
Project/Area Number |
17590009
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
石原 淳 長崎大学, 大学院医歯薬学総合研究科, 助教授 (80250413)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
畑山 範 長崎大学, 大学院医歯薬学総合研究科, 教授 (20143000)
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Keywords | クライゼン転位反応 / 遠隔不斉誘導 |
Research Abstract |
高度に官能基化された複雑な生理活性天然物を立体選択的に合成するには様々な立体制御法を開発することが必要である。申請者らは昆虫摂食阻害物質アザジラクチンの合成の際、新規なキレーション制御法によるクライゼン転位反応にて望む生成物を選択的に与えることを見出した。これはルイス酸性を有するシリル基が遠隔位のカルボニル酸素とのキレーションすることが原因であると推測されたが、このような反応はこれまで例のない新規な反応であった。 そこで、本研究では、本遠隔キレーション制御反応の応用として天然物クルチオリドの合成研究を行った。クルチオリドはトウダイグサ科の植物より単離されたジテルペン化合物であり、非インスリン依存性低血糖活性を有するサウジンと類似の構造を有することから、その生理活性にも興味が持たれている。本化合物の骨格も同様にラクトンカルボニルとの遠隔キレーション制御クライゼン転位反応により構築できると考えられる。前駆体であるエステルは分子内Diels-Alder反応により合成した。このエステルの転位反応を検討したところ、遠隔キレーション制御でクライゼン転位反応が進行し、55%で望む転位生成物が得られた。 一方、α-ブロモエステルを用いるクライゼン転位反応は、Reforrnatsky-Claisen転位反応として知られているが、これまでにあまり応用されてこなかった。In, TMSCl, Et_3Nの存在下で転位反応を行うと、四級炭素を有する望む転位生成物が得られることを見出した。本反応は強塩基を使用しなくても良いという特徴を有する。13族のInは酸素原子と容易にキレーションすることが知られており、新たなキレーション制御反応に応用できる可能性を有している。本Reformatsky-Claisen転位反応の展開は今後の課題である。
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Research Products
(5 results)