2006 Fiscal Year Annual Research Report
単純複素五員環を利用した高度不斉合成プロセスの開発
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17590010
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
松永 浩文 熊本大学, 大学院医学薬学研究部, 助教授 (10274713)
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Keywords | 屋根付き / 不斉合成 / 1,2-ジアミン / 不斉置換変換反応 / 水素移動型不斉還元反応 / イミノジスルフィド / 2-アミノチオール / アリールイミン |
Research Abstract |
本研究では、単純複素五員環化合物を反応素子として利用した、多官能性生理活性化合物群のキラル合成や不斉合成上重要な効率不斉空間の構築など、高度の反応性制御を指向した研究を展開することを目的としている。 今年度は、昨年度までに得られた、複素五員環と環状ジエン類との環化付加により容易に得られる三環性"屋根付き"人工不斉源を利用した触媒的不斉合成反応系に関する幾つかの基礎的知見をもとに、その反応特性から応用展開及び適用限界について詳細に検討し、以下のような成果を得た。また、新規反応系の開拓にも別途着手した: (1)アリルアセテートの触媒的不斉置換変換反応:昨年度その有効性が確認された、三環性"屋根付き"2-イミノチオエーテル体を不斉配位子とした、パラジウムを利用したアリルアセテートの触媒的不斉アルキル化反応を、他種のジエステル型炭素求核剤や環状型の窒素求核剤に適用したところ、何れにおいても高反応活性及ぴエナンチオ選択性で目的物を与える事を見出し、本配位子の有効性・汎用性を実証した。更に、本配位子の原料である2-アミノチオールの二量体より容易に調製される対称型"屋根付き"イミノジスルフィド配位子を利用したところ、中程度の化学収率及びエナンチオ選択性ながら生成物の立体選択性がイミノチオエーテル使用時と比べて反転するという極めて興味深い知見も併せて明らかにした。 (2)水素移動型不斉還元反応:三環性N-トシル-"屋根付き"cis型ジアミン-Ru(II)錯体を利用した水素移動型不斉還元反応を各種アリールイミン類に適用したところ、既出の野依型Ru錯体よりも高活性を維持しつつ、対応する光学活性アミン体を最高90%eeで収率よく得た。また、本反応系におけるエナンチオ選択性はイミンのE/Z比により大きく影響を受けるという新知見を明らかにした。
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