2005 Fiscal Year Annual Research Report
新規な糖鎖連結法の開発とその糖関連生物活性物質の合成への応用
Project/Area Number |
17590013
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
高橋 秀依 帝京大学, 薬学部, 助教授 (10266348)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
南目 梨江 帝京大学, 薬学部, 助手 (70349257)
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Keywords | Coyolosa / エーテル結合糖 / エーテル結合 / 還元的エーテル化 / 血糖降下作用 / アセタール / エーテル / 糖鎖 |
Research Abstract |
天然に存在する糖鎖はグリコシド結合によって連結されており、強い酸性もしくは塩基性の条件下ではその構造が維持されない。そこで、最も安定で簡便に行える連結法として糖鎖のエーテル結合による連結を検討した。エーテル結合による糖鎖の化学合成はこれまで全く試みられていないが、天然物には一例だけ血糖降下作用を有するエーテル結合糖(Coyolosa)が報告されている。 すでに、エーテル結合形成反応として、温和な条件下反応が進行する還元的エーテル化法を見いだし、糖類に適用可能な反応として確立しつつある。酸触媒共存下、糖の6位を酸化したアルデヒド体と6位アルコール体とのアセタール化反応を行い、生成したアセタール体を還元反応に供することによって、D-グルコース、D-ガラクトース、D-マンノース及びD-アロース由来の様々な6,6'-エーテル結合糖の合成を行った。これらは天然物であるCoyolosaと同様の構造を有しており、まだ立体化学が明確でないCoyolosaはこれら化学合成された6,6'-エーテル結合糖のどれかと考えられる。そこで、血糖降下作用などの生物活性を測定していただいた結果、D-マンノースの6,6'-エーテル結合糖がCoyolosaとほぼ等しい活性を示した。今後は、天然物のサンプルを入手し、Coyolosaの構造決定をめざす。 本合成法では、反応を進行させるために過剰量のアルコール体を用い、2段階を経ることに難がある。しかし、適当な還元剤を共存させることによって平衡を生成系にずらすことができれば、一挙にエーテル体まで誘導できる。このようなone-pot合成についても検討し、収率良くエーテル結合糖を得ることができた。これにより、一般的に用いられるWilliamsonの合成法に代わる、非常に実用性の高いエーテル化反応を開発できた。 また、本合成法の汎用性を高めるべく、エーテル結合を糖の1位だけでなく、様々な位置で形成することを試みた。種々の還元剤を使い分けることによって、2,6'エーテル結合糖や3,6'-エーテル結合糖の合成にも成功した。
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Research Products
(3 results)