2006 Fiscal Year Annual Research Report
超原子価結合を持つ有機アンチモン化合物の合成とその有機合成試薬としての活用
Project/Area Number |
17590022
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Research Institution | Hokuriku University |
Principal Investigator |
栗田 城治 北陸大学, 薬学部, 教授 (80100494)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
角澤 直紀 北陸大学, 薬学部, 助手 (20185721)
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Keywords | アンチモン / 高配位アンチモン化合物 / Sb-N渡環相互作用 / 1,5-アザスチボシン / クロスカップリング反応 / ペンタアリールアンチモン / N-アリール化 / O-アリール化 |
Research Abstract |
本研究は、超原子価結合を持つ有機アンチモン(Sb)化合物の合成とその有機合成試薬としての活用に関するものであり、平成18年度に得られた成果を(1),(2)に分けて報告する。 (1)超原子結合を持つSb化合物の合成とそのハロゲン化合物とのクロスカップリング反応 先にPd触媒のもとでSb-N間に渡環相互作用を有する擬10-Sb-4化合物1,5-アザスチボシン類に有機ハロゲン化物を作用させると、極めて緩和な反応条件下でクロスカップリング成績体が生成することを明らかにした。そこで、アザスチボシン類よりも合成の容易な擬10-Sb-4化合物diaryl[2-(N,N-dimethylaminomethylphenyl)]stibane及び擬12-Sb-5型化合物(aryl)bis[2-(N,N-dimethylamino-methylphenyl)]stibaneで同様の反応を試みた。その結果、反応温度の上昇と反応時間の延長が必要であるものの、同様のカップリングが起こることを新たに明らかにすることができた。 (2)12-Sb-5型化合物Ar_5SbをIJ用したアミン類の簡便なN-アリール化反応 年度初め、Cu試薬のもとでAr_5Sbにアミン類(R^2NH_2)を作用させると、炭素-窒素形成反応が起こってR^2NHArが生成することを見出した。そこで、本反応の最適反応条件を求めて、種々のCu試薬とその当量関係、反応溶媒、反応温度、添加物等を詳細に検索した。その結果、Et_3N(1.1eq)添加のもと、銅試薬としてCu(OAc)_2(1.1eq)、溶媒としてアセトニトリルを用いたときに最も良い結果が得られた(60℃,3〜6h)。なお、本反応の特徴として、(1)不活性気体や無水条件などを必要とせず、むしろ空気中で行なった方が良い結果を与えること、(2)Ar_5Sb上の2個のアリール基が反応に関与し、Ar_5Sb 1当量から2当量のアミンをアリール化できること、(3)様々な脂肪族及び芳香族アミン類のアリール化に適用でき、一般性に優れていることなどが挙げられる。また、アミノ基と水酸基を併せ持つp-aminophenolとの反応から、O-アリール化よりもN-アリール化が優先することも明らかになった。
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