2005 Fiscal Year Annual Research Report
有機触媒による光学活性4級炭素構築法の確立と生物活性化合物合成への展開
Project/Area Number |
17590023
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Meijo University |
Principal Investigator |
原 脩 名城大学, 薬学部, 助教授 (40222228)
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Keywords | Stetter反応 / 4級炭素構築 / アゾリウム塩 / β-ヒドロキシ-α-アミノ酸 |
Research Abstract |
申請者はStetter反応による4級炭素構築法をすでに確立しており、本年度はこれまで主に利用してきたサリチル酸誘導体以外の基質に対する反応性を調査するとともに光学活性体の合成が可能にするための新しい触媒の合成法の確立を目指し検討した。まず、新規な基質の代表として芳香環を含まない脂肪族系の基質での検討から始めた。 脂肪族系基質はδ-ラクトンやε-ラクトン類縁体から合成を行い、いずれの原料も比較的環化しやすい五員環または六員環を形成するために選択した。ラクトンはDIBALでラクトールとした後Wittig反応によりα、β-不飽和エステルとし、生ずる水酸基を酸化してStetter反応の基質を合成した。その結果、五員環形成は容易に起こるものの、六員環形成は単純な鎖状系では起こりにくいことが明らかとなった。そこで置換基を導入し環化を試みたところ反応が進行した。現在はジェミナル置換基の導入した基質での反応を検討し、最適化を行っている。 基質の拡張を検討するとともに光学活性なアゾリウム塩を合成するため、Endersらの触媒を基本とする触媒設計とラセミ体での合成法について検討を行った。彼らの触媒はその原料が医薬原料と言うことで多量に入手可能である反面、塩基性条件下で不安定な上、一部の基質には有効に働くものの一般性の低い触媒であった。そこでまず基質特異性の低さを改善するために触媒構造に構造修飾可能な部位を数カ所導入し、各基質に最適な触媒が簡便に合成できるよう、そのラセミ体での合成法を確立することにした。その合成法としてはグリシン誘導体より容易に合成可能なβ-ケト-α-アミノ酸を利用し、ケトンの立体選択的還元反応により触媒前駆体とした。得られたβ-ヒドロキシ-α-アミノ酸のエステル部分は有機金属試薬で3級アルコールとした後、立体選択的還元で得られた水酸基と環状アセタールを構築、アミノ基部分はアゾリウム塩の構築の足がかりとした。この合成法により触媒中に可変部位を数カ所持つアゾリウム塩の合成法が確立できた。現在はエナンチオ選択的な還元反応を用いたβ-ヒドロキシ-α-アミノ酸の合成を行い、アゾリウム塩とした後、それぞれの不斉誘起の能力について検討している。
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Research Products
(2 results)