2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17590029
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
眞野 成康 東北大学, 大学院・薬学研究科, 助教授 (50323035)
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Keywords | タンパク質相互作用 / アフィニティー抽出 / プロテオミクス / ジスルフィドリンカー / 質量分析法 / シグナル伝達 / タンパク質立体構造 / モノクローナル抗体 |
Research Abstract |
比較的低分子量の物質が開始シグナルとなるタンパク質相互作用ネットワークパスウェイを解析するうえで、そのトリガーとなる小分子-タンパク質相互作用の解析はきわめて重要である。しかしながら、これまで汎用されてきたアフィニティー抽出法は、ゲル表面やリンカー部分への非特異的吸着がしばしば問題となってきた。そこで今回、リンカー部分にジスルフィド結合を導入したcleavable affinity gelを新たに調製し、生体内小分子結合タンパク質の特異的抽出法の構築を試みた。 まず、ゲル末端を活性エステル化したアガロースゲルに対しシスタミンを作用させ、ゲルにジスルフィドリンカーを導入した。次いで、モデル化合物として用いたデオキシコール酸のp-ニトロフェニルエステルと混合し、リガンド分子をゲルに固定化した。調製したゲルに対して還元剤を作用させてジスルフィドリンカーの切断効率を調べたところ、リガンド分子に対して2.5当量のジチオスレイトールを用いて1時間インキュベートすると、ジスルフィドリンカーを完全に切断できることが判明した。一方、本還元反応による抽出タンパク質の立体構造への影響を精査するため、モデルタンパク質として血清アルブミンを用いてタンパク質分子内のジスルフィド結合の切断につき解析した。その結果、タンパク質分子に対して10当量までのジチオスレイトールを用いても分子内部のジスルフィド結合は影響されず、20当量以上で3次構造の崩壊が起こることが明らかとなった。引き続き、本アフィニティーゲルを抗デオキシコール酸抗体を含むマウス腹水と混合し、洗浄後、2.5当量のジチオスレイトールを用いて結合タンパク質を回収した後、SDS-PAGEにより抽出タンパク質を解析した。その結果、3つのタンパク質バンドのみが検出され、それらをゲル内消化後、質量分析法により解析したところ、血清アルブミン及び抗デオキシコール酸抗体の重鎖、軽鎖であることが明らかとなった。ちなみに非還元条件下でnative-PAGEに付したところ、抗体の分子内ジスルフィド結合は維持されていることが判明した。
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