2006 Fiscal Year Annual Research Report
電気化学アプローチによるグアニン類縁体の酸化損傷研究とDNA損傷マーカーの検索
Project/Area Number |
17590035
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Research Institution | Gifu Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
江坂 幸宏 岐阜薬科大学, 薬学部, 助教授 (70244530)
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Keywords | 酸化損傷 / サイクリックプロパノグアニン / 飲酒 / 電解酸化 / 二量体 / MS / MS / NMR / DNA同一鎖内架橋 |
Research Abstract |
アセトアルデヒド分解酵素2型の欠損遺伝子を有するひとの、飲酒由来の発ガン率の高さは、アセトアルデヒドによるDNA損傷が、アルコールによる発ガン機構の最初のアクションである可能性が高いことを示しています。サイクリックプロパノグアニン(CPrG)はその損傷形態として有力であり、斎藤らによって提唱されるDNA鎖内電子ホシピング機構による酸化損傷発生論を背景に、私はこの損傷塩基を原因とする塩基情報の読み違い機構の一部として、二つのCPrGの酸化的縮合体生成を提案しました。 まず、前年の検討で生成が示唆された、このCPrG縮合体の構造を決定するため、電解を酸化手段として酸化生成物を相当量合成し、詳細な構造解析を行いました。まず、CPrG及び縮合体の^1H-NMRスペクトル、^<13>C-NMR、の詳細な比較から、縮合体中の2つのCPrG部位は、非常に良く似ていながら化学シフトが僅かにずれて等価ではない2つの構造を有することが示され、結合部位が同一ではない2分子縮合体である構造が強く示唆されました。加えて、多次元NMR法(DEPT観測及び且MBC観測)で2分子の架橋接点を突き止め、全体構造を決定しました。この構造はMS/MS分析でも支持されました。 この構造は、MOPACによるDNAコンフォメーションの検討より、DNA異鎖間及び同鎖間で形成することが可能であり、特に後者は遺伝子情報のミスリーディングに直結する損傷と言えます。現在、二本鎖DNA鎖内にCPrG部位を形成させて直接電解酸化を行い、鎖内に二本鎖形成が生じるかどうかを検討しております。 また、この2分子縮合体は、発ガン危険度を示すマーカーとして用いることができる可能性があります。(掲載した発表論文は、バイオマーカーとしての損傷DNA塩基分析を目的に高機能分離分析法の開発を志向して行った研究の成果です。)
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Research Products
(1 results)