2005 Fiscal Year Annual Research Report
大量発現組換えタンパク質の向流クロマトグラフィーによる一段階精製とその機能解析
Project/Area Number |
17590042
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Research Institution | Tokyo University of Pharmacy and Life Science |
Principal Investigator |
渋沢 庸一 東京薬科大学, 薬学部, 助教授 (10102708)
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Keywords | 組換えタンパク質 / 向流クロマトグラフィー / 一段階精製 / 機能解析 |
Research Abstract |
1.Maltose binding protein(MBP)融合Sir 2p,Hst 2pの大量発現 Silent information regulator 2 protein(Sir 2p)がヒストンの脱アセチル化を行い,テロメラにおけるサイレンシングに関与しているかを明らかにするため,まず最初に大腸菌にMaltose binding protein(MBP)融合Sir 2p(MBP-Sir 2p)を大量に発現させる方法を検討した.その結果,MBP融合発現ベクターとしては,pMAL-c2を用いればよいことや,PCR法で遺伝子を増幅するための条件やprimerなどがわかり,大腸菌にMBP-Sir 2pを大量培養させることができるようになった.大量発現させた大腸菌の細胞破砕液から,収率の極めて悪い従来法(アミロースレジンクロマトグラフィー)によってMBP-Sir 2Pを精製した. 2.向流クロマトグラフィー用水性二相溶媒系の選択 カラム充てん剤を用いない向流クロマトグラフィー(CCC)では,分離のメカニズムは固定相液体と移動相液体との間の分配に限られる.よって,各種水性二相溶媒(APTP)系は以下の系を調製し,上層,下層の体積比を求めるとともに,粘度を測定し,上層または下層が固定相としてカラム内に保持できるかなどCCCに使用できるかを検討した.また,下記に示したAPTP系におけるMBP-Sir 2pの分配係数(K)と細胞破砕液中の総タンパク質のK(K_<lysate>)を測定し,K及びK_<lysate>に大差が認められる系を探索しCCCに使用できるAPTP系の選択を試みた. (1)16% polyethylene glycol(PEG)1000-12.5%リン酸カリウム緩衝液(pH6.8〜pH9.2). (2)4.4% PEG 8000-6% dextran T500-10mMリン酸カリウム緩衝液(pH4.6〜pH9.2). (3)12.5% PEG 3350-15% dextran T10-10mMリン酸カリウム緩衝液(pH4.6〜pH9.2). (4)7.5% PEG 3350-10% dextran T40-10mMリン酸カリウム緩衝液(pH4.6〜pH9.2). その結果,(1)の系はリン酸カリウム濃度が高いためタンパク質が塩折され,MBP-Sir 2Pの精製には適していないことがわかった.また,(2)の系はdextran T500を使用しているため,タンパク質を精製した後,精製画分から二相系を構成するポリマーを限外ろ過で除去できないことがわかった.(3)は上層の体積が下層の体積の1.7倍も多くCCCには適さないことが判明し,(4)の系の下層を固定相,上層を移動相とするCCCで,大腸菌破砕液から直接MBP-Sir 2Pの一段階精製を行うこととした.CCCの条件検討,およびCCCによるSir 2P精製に関しては平成18年度の研究費によって検討したいと考えている.
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