2006 Fiscal Year Annual Research Report
大量発現組換えタンパク質の向流クロマトグラフィーによる一段階精製とその機能解析
Project/Area Number |
17590042
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Research Institution | Tokyo University of Pharmacy and Life Science |
Principal Investigator |
渋沢 庸一 東京薬科大学, 薬学部, 助教授 (10102708)
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Keywords | 組換えタンパク質 / 向流クロマトグラフィー / 一段階精製 / 機能解析 |
Research Abstract |
平成17年度は向流クロマトグラフィー(CCC)用水性二相溶媒系を各種調製し,上層と下層の体積比,動粘度を測定しCCCに適用できるかを検討した.その結果,7.0%PEG 3350-10% dextran T40-10mMリン酸カリウム緩衝液(pH9)の系がCCCに適していた.また,maltose binding protein (MBP)融合Hst2p(MBP-Hst2p)はpMALc2を発現ベクターに用いれば大腸菌に大量発現させることができることがわかった. そこで,平成18年度は,上記二相溶媒系の下層(dextran T40-rich)を固定相としてCCC装置のカラムへ充填し,カラムを400rpmで回転させながら上層(PEG 3359-rich)を移動相として,MBP-Hst2pを大量発現した大腸菌の細胞破砕液を溶離(0.25ml/min)した.その結果,32-53(3ml/each)画分には上層で溶出された3つのピークが確認できた.53画分が溶出した後,固定相に強く保持されている成分はdextran T40-richな固定相液体で溶出した.CCCは固定相も移動相も液体なのでカラムからの回収率は100%である.54-60画分まで分画した後,水性二相系を構成するPEGとdextranは限外ろ過で除去し,画分中のタンパク質をSDS-PAGEで確認した.その結果,上層で溶出された39-45画分中にはMBPタグが含まれていた.また,精製目的のHst2pは固定相液体で溶出した55-60画分に単一バンドとして確認できた. 精製されたHst2pは,CCC分離の際に,タグタンパク質(MBP)から消化されて結合が切断されたにもかかわらず,酵素活性を測定したところ,ヒストンの脱アセチル機能は保っていた.このように,大腸菌に大量発現させたMBP-Hst2pは水性二相溶媒系を用いるCCCで,細胞破砕液から一段階で精製できることがわかった.また,プロテアーゼ処理しなくても,CCC分離中にタグタンパク質から切断できることが確認された.
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