2007 Fiscal Year Annual Research Report
タウ蛋白質の自己凝集機構の解明:痴呆治療薬開発のための基盤研究
Project/Area Number |
17590045
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Research Institution | Osaka University of Pharmaceutical Sciences |
Principal Investigator |
石田 寿昌 Osaka University of Pharmaceutical Sciences, 薬学部, 教授 (00111021)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
友尾 幸司 大阪薬科大学, 薬学部, 准教授 (70257898)
尹 康子 大阪薬科大学, 薬学部, 助教 (50257896)
箕浦 克彦 大阪薬科大学, 薬学部, 助教 (10278591)
谷口 泰造 神戸大学, バイオシグナル研究センター, 研究員 (70346253)
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Keywords | タウ蛋白質 / 微小管結合ドメイン / フィラメント形成 / 自己会合 / 認知症治療薬 |
Research Abstract |
(1)タウBMDドメイン間の自己会合に重要なリピート構造領域とそのアミノ酸残基の同定 これまでにMBDドメインの4回繰り返し構造の内、第2番目と第3番目の繰り返し構造がタウMBDの自己会合に重要で、とりわけ、そのN-末端構造とそれを構成するペプチドの内、前者ではリジン、後者の場合はプロリン残基が重要であることを明らかにすると共に、第1番目と第4番目のリピート構造のBMD自己会合に対する影響を調べる目的で、R12, R13, R23, R34, R123, R134, R234, R1234の各種の組合せリピートMBD変換体の自己会合について、種々の物理化学的手法で解析した結果、自己会合にはR23の組合せリピートが最も促進的であり、、R23の強い自己会合能はこれまでに明らかにしたリジンやプロリンに加えて、R3リピート内に存在するチロシンに起因することを明らかにした。一方、中性条件ではR1, R4はその自己会合に抑制的に作用するが、リン酸化等による酸性条件下では、R1は抑制的であるのに対し、R4は凝集に促進的に働くことを明らかにした。 (2)タウBMDドメイン間の自己会合を阻害する分子の設計 これまでの研究成果として、正常な機能を有するタウ蛋白質は可溶性のランダム構造をとるのに対して、溶媒やpH等による環境変化に応じてタウ蛋白質のMBDドメイン構造には両親媒性のべータシート構造やアルファヘリックス構造に変換しやすい領域が存在し、その領域はタウ蛋白質の自己凝縮と極めて関係深いことを明らかにすると共に、MBDの各リピート構造部分の最も両親媒性のシート構造形成能およびヘリックス構造形成能の高いペプチド配列について、この配列と選択特異的に結合(相互作用)するペプチド分子やDNA分子の設計並びに低分子有機化合物の検素を試みた。その結果、single DNA分子、メチレンブルーやシアニジンの低分子有機化合物が有意に凝集抑制効果を示すことを明らかにすると共に、これらの化合物は、MBDドメインの4回繰り返し構造の第3番目のN-末端6残基であるVQIVYKおよびその類似ペプチドのβシート構造形成を阻害し、MBD凝集を有意に抑制することを明らかにした。現在さらに高い抑制効果を示す化合物の分子改変を試みている。 (3)MBDドメンのリピート構造を特異的に認識する抗体の調整とタングル形成会合阻害実験 昨年度に引き続き、(i)MBDの各繰り返し構造(R1-R4)の特定の機能性領域を選択的に認識する抗体を作成し、(ii)タウ蛋白質のタングル形成阻止能をThS蛍光測定で調べ、(iii)良好な抑制効果を示した抗体については痴呆モデルマウスを用いてその薬効評価を試みている。現在さらに、上記(1)の結果を基に、R23部位内の特定のアミノ酸残基を選択的に認識する抗タウ抗体の作成と凝集抑制効果ならびに痴呆抑制効果について鋭意研究を進めている。
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Research Products
(2 results)