2005 Fiscal Year Annual Research Report
胆汁酸修飾タンパク質を標的分子とする疾患プロテオミクスに関する基礎的研究
Project/Area Number |
17590046
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
池川 繁男 近畿大学, 薬学部, 教授 (90111301)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三田村 邦子 近畿大学, 薬学部, 講師 (70242526)
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Keywords | 胆汁酸 / リトコール酸 / アシルアデニレート / 抗体 / 胆汁酸CoAリガーゼ / 二次元電気泳動 / タンパク質 / LC / MS |
Research Abstract |
近年、最も脂溶性の高い胆汁酸であるリトコール酸(LCA)が肝臓内のタンパク質や大腸細胞内核ヒストンと付加体を形成することが指摘され、前者では胆汁うっ滞、後者では癌を誘発することが推測されている。このため、肝障害をはじめとする各種疾患と関連して組織、細胞内における胆汁酸とタンパク質との共有結合付加体の生成機構と毒性発現との関連を明らかにすることが強く求められている。そこで、胆汁酸のアミノ酸抱合におけるアシルアデニレートやアシルCoAが反応性に富む活性代謝物であるというこれまでの知見を基に、今年度は以下の研究を行った。まず、LCA結合タンパク質(LBA)が分子表面にLCAのステロイド核を露出しているものと推測されることから、本ステロイド核に相補的で高い特異性を持つ抗LCA抗体を調製した。引き続き、これを分子標的機能性機材として用い、胆管結窄ラット肝細胞内のLBAを抗LCA抗体を用いる免疫沈降法によって捕捉後、二次元電気泳動によって展開・分離し、differential displayによって目的とするLBAを特定した。さらに、還元アルキル化とトリプシン消化後のペプチド混合物をMALDI-TOFMS分析に付し、ペプチドマスフィンガープリント法によって解析した。その結果、特定したタンパク質がRab関連タンパク質であり、これらのリシン残基にLCAが結合している可能性があることを明らかにした。そこで、これらの研究成果を基にLBAの血中への漏出の可能性を追求した。すなわち、ヒト血清中に大量に存在することが知られるヒト血清アルブミンとIgGを、ヒト血清前処理用キットを用いるイムノアフィニティー抽出によって除去した後、固定化抗LCA抗体を加え、捕捉されたタンパク質を脱着後、SDS-PAGEと抗LCA抗体を用いるイムノブロットによってLBAを追跡した。その結果、正常ヒト血清中にはLBAは漏出されないことが窺われた。また、胆汁酸アシルアデニレートやアシルCoAの生成を触媒する酵素の発現変動とLBAとの関連を細胞レベルで追及すべく、ヒト胆汁酸CoAリガーゼ(hBAL)の遺伝子をクローニングするとともに、本遺伝子をHEK293細胞に導入し、発現した酵素の活性をCoAチオエステルの生成を指標としてLC-ESI-MS^2によって解析した。その結果、期待通りhBAL強制発現細胞が酵素の活性を保持していることが判明した。
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