2005 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子構造の異常に応じて機能するタンパク質群の統合的解析
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17590051
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
多田 周右 東北大学, 大学院・薬学研究科, 助手 (00216970)
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Keywords | BLM / WRN / RecQL4 / RecQヘリカーゼ / DNA二本鎖切断 / DNA組換え修復 / 非相同末端結合修復 / checkpoint機構 |
Research Abstract |
本研究では、DNA傷害の検知と修復の過程を生化学的に捉えることを目的とし、遺伝子構造安定性維持機構に重要な役割を果たすBLM、WRN、RecQL4などのRecQヘリカーゼの挙動と機能を解析の中心に据え、これを手がかりとしながら広範なメカニズムを解析の対象とすることを目指した。高発がん性を特徴とするBloom症候群の原因遺伝子産物BLMの挙動について、Xenopus卵抽出液を用いた実験系により解析を行ったところ、DNA二本鎖切断(DSB)に応じたBLMのクロマチン結合量の変化は認められなかったものの、BLMに対する高度のリン酸化が引き起こされることが確認された。阻害剤を用いた検討により、DSBの発生に応じてBLMは速やかにDNA依存性プロテインキナーゼ(DNA-PK)によるリン酸化を受け、より長時間あるいは高頻度のDSBの発生によってさらにATMによるリン酸化を受けることが示唆された。すなわち、BLMがDNA-PKやATMの下流でDSBの認識・修復に関与することが推察された。一方、早老症に分類されるWerner症候群、Rothmund-Thomson症候群の原因遺伝子産物であるWRN、RecQL4についてはDSBに応じたクロマチンへの結合の顕著な増加が認められた。両者の結合は一本鎖DNA結合タンパク質であるRPAを反応系から除去することにより抑制されたが、DNA組換え修復機構に必須なRad51のクロマチン結合を抑止させても変化は認められなかった。したがって、両者はDSB修復において何らかの機能を果たすが、これは、DNA組換え修復過程のうちRad51のクロマチン結合以前の段階であるか、あるいは非相同末端結合修復過程であることが示唆された。このうちRecQL4については、ATM/ATRを阻害するcaffeineの添加によりDSBに応じたクロマチン結合が顕著に抑制されることが認められたため、checkpoint機構により何らかの制御を受けていると考えられた。
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