2006 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子構造の異常に応じて機能するタンパク質群の統合的解析
Project/Area Number |
17590051
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
多田 周右 東北大学, 大学院薬学研究科, 助手 (00216970)
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Keywords | 遺伝子構造安定性維持機構 / RecQファミリー / DNAヘリカーゼ / RecQL4 / DNA二本鎖切断修復 / 非相同末端結合修復 / DNA-PK / Xenopus卵抽出液無細胞実験系 |
Research Abstract |
本研究では、DNA傷害を検知して修復するまでの過程を生化学的に捉えることを目的とし、遺伝子構造安定性維持に重要な役割を果たすRecQヘリカーゼを解析の中心に据え、これを手がかりとしながら検討を進めた。本年度は、とくにRothmund-Thomson症候群の原因遺伝子産物RecQL4のDNA二本鎖切断(DSB)修復機構への関与について重点を置き、Xenopus卵抽出液無細胞実験系を用いた生化学的解析を進めた。卵抽出液中の精子核クロマチンに制限酵素EcoRIにより誘導されるDSBに応じてRecQL4がクロマチン画分に蓄積したことより、RecQL4がDNA二本鎖切断修復機構に関与している可能性が考えられた。そこで、DSBの指標となるリン酸化型ヒストンH2AX(γH2AX)の減少を検出することによりDSB修復効率について検討した結果、RecQL4免疫除去卵抽出液を用いた場合にγH2AXの減少の顕著な遅れが観察された。また、DSBに応じたRecQL4のクロマチン結合はDNA組換えタンパク質であるRad51と同様に一本鎖DNA結合タンパク質に依存することが示された。そこで、Rad51-DNA複合体形成を抑制するhBRCA2のBRC4 domainタンパク質を卵抽出液に添加したが、RecQL4のクロマチン結合には変化が観察されなかった。次に、checkpoint経路の起点となるATR/ATMの阻害剤であるcafffeine、ATMだけでなく非相同末端結合修復(NHEJ)に関わるDNA-PKも阻害するwortmanninを卵抽出液に添加したところ、DSBに応じたRecQL4のクロマチン結合が減少した。この効果はcafffeineよりもwortmanninで顕著であったため、RecQL4はDSB修復過程においてDNA-PKの下流で機能していることが示唆された。そこで、DSBを誘導したクロマチンとRecQL4を結合させた後に免疫沈降を行ったところ、沈降画分中にDNA-PKのサブユニットであるKu70が検出された。以上の結果より、RecQL4がNHEJに関与してDSB修復機構に寄与することが示唆された。
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