2006 Fiscal Year Annual Research Report
ストレス応答キナーゼTAK1によるがん転移促進作用の分子機構解析
Project/Area Number |
17590055
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
櫻井 宏明 富山大学, 和漢医薬学総合研究所, 助教授 (00345571)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
済木 育夫 富山大学, 和漢医薬学総合研究所, 教授 (80133776)
小泉 桂一 富山大学, 和漢医薬学総合研究所, 助手 (10334715)
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Keywords | TAK1 / TRAIL / TNF-α / アポトーシス / NF-κB / MAPK |
Research Abstract |
がんの悪性化・進展におけるストレス応答キナーゼTAK1の果たす役割について解析を行った。がん細胞にアポトーシスを誘導するサイトカインTRAILのシグナル伝達系について解析した結果、TNF-αと同様に、TAK1が下流のJNK, p38MAPKおよびIKK-NF-κB経路の活性化を制御していることが明らかとなった。また、siRNAや特異的キナーゼ阻害剤を用いてTAK1シグナルを阻害した結果、TRAILによるがん細胞のアポトーシスが増強した。したがって、TRAILの臨床応用においてTAK1阻害剤との併用が有用であることが示唆された。また、TNF-α刺激により、がん細胞内で増殖因子受容体であるEGFRの一時的な抑制が起こることを見出した。これには、TAK1-p38を介したシグナルがEGFRをリン酸化し、clathrin依存的に細胞内に取り込むことにより起こっていることを明らかにした。さらに、EGFRは脱リン酸化後速やかに細胞膜上にリサイクルされることが判明した。さらに、TAK1の下流に位置するNF-κB p65サブユニットが、SerpinE2の転写活性化に重要な役割を果たしていることを見出した。 食中毒の原因菌であるYersinia enterocoliticaのYopPタンパク質が、宿主のIL-1シグナルに伝達系においてTAK1を阻害することを見出した。これには、TAK1結合タンパク質TAB1のリン酸化によるTAK1フィードバック阻害機構が関与していることを見出した。さらに、T細胞シグナルにおけるTAK1の果たす役割について検討し、T細胞受容体シグナルにおいてUbc13ユビキチンリガーゼの関与した下流シグナルに重要な役割を果たしていることを見出した。
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Research Products
(6 results)