2005 Fiscal Year Annual Research Report
脾臓におけるP2X7受容体活性の制御による細胞死の調節
Project/Area Number |
17590061
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
原田 均 静岡県立大学, 薬学部, 講師 (30208681)
|
Keywords | P2X7受容体 / 細胞死 / T細胞 |
Research Abstract |
ATP受容体(P2受容体)のサブタイプの一つであるP2X_7受容体は、リガンドとの結合により活性化され、カチオン流入に加え分子量300程度までの分子が透過できる小孔を形成する。P2X_7受容体の活性化は細胞自身の細胞死を誘導するが、その詳細な機構は明確ではない。本研究計画では脾臓におけるP2X_7受容体を介した細胞死誘導機構について検討した。 マウス胸腺ならびに脾臓から分離した細胞をATPで刺激したところ細胞間の応答性に差違が認められるものの、P2X_7受容体を介すると考えられる細胞縮小の誘導を観察した。この細胞縮小は細胞外液中の塩素イオン濃度を低下させることにより抑制された。さらに、両細胞間の応答性の差違に注目してT細胞の分化・成熟過程におけるP2X_7受容体を介した細胞縮小活性の変動について調べた結果、未熟胸腺細胞(CD4^-8^-・CD4^+8^+胸腺細胞)<成熟胸腺細胞(CD4^-8^+胸腺細胞<CD4^+8^-胸腺細胞)<<末梢T細胞(CD8^+脾臓細胞<CD4^+脾臓細胞)の順に細胞縮小活性が高くなることを見出した。 これらの結果から、生体内におけるP2X_7受容体を介した細胞死誘導において細胞外液中の塩素イオンの流入が重要な役割を担っていること、この細胞死誘導はT細胞の分化・成熟に伴って発現・増強されることを明らかとした。また、過剰な免疫反応による細胞障害により細胞外に放出されるATPが、P2X_7受容体を介して末梢T細胞の細胞死を誘導することで免疫反応を終了させる負の免疫制御機構が推察された。 以上、本研究ではP2X_7受容体活性化を介した細胞死誘導において、小孔形成とそれに続く塩素イオンの細胞内への流入が重要な役割を果たすことを明らかにした。他の細胞死誘導系において塩素イオンの流入を介した機構は未だ報告されておらず、小孔形成を引き起こすP2X_7受容体に特有の機構を解明できたものと考えられる。
|
Research Products
(1 results)