2007 Fiscal Year Annual Research Report
脾臓におけるP2X7受容体活性の制御による細胞死の調節
Project/Area Number |
17590061
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
原田 均 University of Shizuoka, 薬学部, 講師 (30208681)
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Keywords | P2X7受容体 / 細胞死 / T細胞 / 塩素イオン |
Research Abstract |
【目的】T細胞表面に発現するP2X7受容体は、リガンドであるATPとの結合により活性化され、小孔の形成、ホスファチジルセリン(PS)の細胞膜表面への露出、細胞縮小を伴った細胞死を誘導する。本研究では、P2X7受容体活性化による細胞死誘導機構の解明を目的に、細胞外塩素イオン濃度の影響について詳細に解析した。 【方法】4週齡雄性BALB/cマウスの脾臓から調整した細胞を用いて実験を行った。細胞径の変化はフローサイトメーターを用いて前方散乱光を、小孔形成はエチジウムイオンの取り込みを、PSの細胞膜表面への露出はFITC標識アネキシンVの結合量を、細胞死はプロピジウムイオンの取り込みを測定することにより評価した。 【結果および考察】ATP(1mM)処置10分後に細胞径の縮小(細胞縮小)を伴った小孔形成ならびにPSの細胞膜表面への露出が、60分後には細胞死の誘導が観察された。次いでこれらの応答の用量依存性を調べたところ、小孔形成ならびにPSの細胞膜表面への露出は、細胞縮小ならびに細胞死の誘導に比べて、より低い濃度のATPで誘導された。また細胞縮小ならびに細胞死の誘導は細胞外液中の塩素イオン濃度を細胞内の塩素イオンと同程度の50mM程度に低下させることで抑制できたが、小孔形成ならびにPSの細胞膜表面への露出は抑制できなかった。 以上より、P2X7受容体活性化後の細胞径の縮小が細胞死誘導には重要で、この過程には細胞外からの塩素イオンの流入が必須であると考えられた。また、PSの細胞膜表面への露出は、この経路とは異なった経路でより高感度に誘導されると考えられ、P2X7受容体の生理機能を今後考える上で大変興味深い知見である。
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Research Products
(4 results)