2005 Fiscal Year Annual Research Report
バイオメカニカルストレス反応による脂肪細胞の分化機能制御とその分子機構の解明
Project/Area Number |
17590062
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
田辺 由幸 静岡県立大学, 薬学部, 助手 (10275109)
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Keywords | 脂肪細胞 / 細胞分化 / 伸展茂樹 / Rho GTPase / EPA / DHA / PPARγ / C / EPBα |
Research Abstract |
(目的)周期的伸展刺激はMAPキナーゼの活性化を介してPPARY2の発現を低下させることにより3T3-L1細胞の脂肪細胞分化を抑制する(Tanabe et al.,J.Cell Sci.2004)。本年度は、3T3-L1細胞における周期的伸展刺激の受容機構を明らかにするとともに、同刺激と薬物との併用に有用性を見いだすことを目指した。 (方法)マウス前駆脂肪細胞3T3-L1は薬剤による2日間の刺激(誘導期)を経て、およそ7〜10日後(成熟期)には多数の脂肪滴を蓄積した脂肪細胞に分化する。周期的伸展刺激の分化抑制効果は誘導期にのみ同刺激を与えることにより発現する。その分子機構の解明とともに、薬物との併用を検討するため、伸展刺激とともにRhoキナーゼ阻害薬(Y-27632とH-1152)、魚油由来のEPA、DHAをそれぞれ加えた条件で誘導刺激を行った際の分化関連遺伝子の発現、ならびに成熟期でのトリグリセリド蓄積などの分化マーカーを測定した。 (結果と考察)Rhoキナーゼ阻害薬が周期的伸展刺激による分化抑制を解除したことから、細胞骨格がメカノセンサーとなり、それと相互作用のあるRho GTPaseシグナルの活性化が分化抑制に重要であることが示唆された。分化誘導のごく初期にCOX-2の一過的発現上昇がおこり、その基質となるEPAはC/EPBαの発現を抑制したが、単独では分化抑制効果はみられなかった。周期的伸展刺激はPPARr2の発現抑制をするのみならず、COX-2の発現レベルを更に増加させた。EPAと伸展刺激の組み合わせは脂肪細胞分化を更に強く抑制し、その作用はCOX-2阻害薬により消失した。一方、DHAは単独、伸展刺激との併用、何れの場合でも明確な効果を示さなかった。これは、DHAが直接COX-2の基質にならないためと推察された。
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