2006 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子改変動物を用いた腎炎発症機序の解明と治療のエビデンスに関する研究
Project/Area Number |
17590066
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Research Institution | Nihon Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
新木 敏正 日本薬科大学, 薬学部, 教授 (90138420)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
櫻田 誓 日本薬科大学, 薬学部, 准教授 (30279244)
中島 孝則 日本薬科大学, 薬学部, 准教授 (80265404)
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Keywords | 腎臓 / 腎性骨症 / ビタミンD / 副甲状腺ホルモン / トランスジェニック / 骨量 / ビタミンD代謝 / プロテオミックス |
Research Abstract |
高齢者人口の増加により骨粗鬆症ならびに循環器疾患の罹患者が増加している。また、生活習慣の欧米化に伴って増加している糖尿病は、神経または網膜に対する障害に加え、腎炎を発症して人工透析導入の最大のリスクファクターになっている。しかし、腎症の罹患者は増加しているが、その発症機序は明らかでない。そこで、我々は腎性骨症の治療に関するエビデンスを提供する目的で研究を行った。 ビタミンDの活性型代謝産物である1α,25-ジヒドロキシビタミンD_3の分解系の律速酵素である24-水酸化酵素を強制発現させると、巣状性糸球体腎炎を発症して骨塩量の低下が起こる。このことから、本動物を用いて、腎性骨症の治療法の検討ならびに腎炎発症に関与する蛋白質の同定を行った。 24-水酸化酵素の強制発現により腎炎を発症したラットでは、尿中蛋白質の排泄増加の他、血中脂質の増加、ビタミンD代謝産物の低下が認められた。また、腎機能の低下が原因のビタミンDの代謝障害と骨塩量の低下に加え、副甲状腺ホルモンによる骨吸収の亢進が認められた。そこで、腎症に伴う骨塩の減少と副甲状腺ホルモンの上昇を防ぐ治療法の検討のため、活性型ビタミンDならびにその前駆体である25-ヒドロキシビタミンDの投与による回復試験を行った。その結果、活性型ビタミンDの投与では分解が早いため優れた治療効果を示さなかったが、前駆体である25-ヒドロキシビタミンDが安定な活性型ビタミンDの供給から顕著な治療効果を示した。次に、腎炎発症に関連した蛋白質を明らかにするため、二次元電気泳動法による解析を行った。野生型ならびに24-水酸化酵素の強制発現ラットの腎臓から調製した蛋白質を分離して画像解析装置により解析したところ、腎炎発症している腎臓で、6種類の蛋白質の合成低下と3種類の合成亢進が起こっていることが示された。
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Research Products
(3 results)