2006 Fiscal Year Annual Research Report
胚発生過程に特異的に発現する2つの新規胚型PHGPxの同定と機能解析
Project/Area Number |
17590067
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
今井 浩孝 北里大学, 薬学部, 助教授 (50255361)
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Keywords | 発生・分化 / ストレス / トランスジェニックレスキュー / プロモーター / プロテオーム / 過酸化脂質 |
Research Abstract |
3.5日PHGPx KO受精卵のIn vitro培養系での致死は、PHGPx活性をもつエブセレンだけでなく、脂質の過酸化を抑制するビタミンE、Troloxの培地中の添加で抑制された。しかし、スーパーオキシドを消去するMnTBAP,やNAC,グルタチオンの添加では抑制できなかった。このことから胚の発生過程では脂質の過酸化により致死が誘導されることが明らかとなった。また非ミトコンドリア型PHGPx発現レトロウィルス感染によっても致死がレスキュー出来たことから、胚発生過程では3つのタイプうち非ミトコンドリア型PHGPxが重要であることが明らかとなった。3つのタイプおよび胚型候補の開始コドン上流のプロモーター活性を網羅的に検索した結果、3つのタイプのPHGPxプロモーター活性は存在したが、胚型候補の開始コドンの上流のプロモーター活性は検出できなかった。さらに既知の3つのPHGPxの開始コドンを変異させたTg遺伝子および正常のTg遺伝子により、マウスの個体レベルでのPHGPx KOによる致死をレスキュー出来るのかをトランスジェニックマウスを作成した後、PHGPxヘテロマウスと交配し、PHGPx KOマウスが産まれるか検討したところ、正常Tg遺伝子では致死をレスキューできたが、全変異Tg遺伝子では致死をレスキューできなかった。以上のことから、胚発生過程における新たな胚型の存在は否定され、非ミトコンドリア型PHGPxが重要な役割を担っていることが明らかとなった。一方、胎盤に存在する30kDaのPHGPxは還元剤処理により分子量が20kDaに変化したことから、非ミトコンドリア型PHGPxが他の蛋白質と複合体形成していることが示唆された。実際2次元電気泳動では抗PHGPx抗体により染色される高分子量のバンドが検出された。現在、MSによるこの複合体蛋白質の同定を試みている。
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