2005 Fiscal Year Annual Research Report
長期抑圧LTDに伴う海馬神経棘突起の構造変化とその分子メカニズム
Project/Area Number |
17590070
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
本間 光一 帝京大学, 薬学部, 助教授 (90251438)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山口 真二 帝京大学, 薬学部, 助手 (60398740)
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Keywords | 長期抑圧 / LTD / 長期増強 / LTP / 海馬 / 棘突起 / Dendritic spine / 錐体細胞 |
Research Abstract |
本研究目的は、生後の哺乳類(ラット)脳において、長期記憶や学習に重要な役割を果たすことが示されている海馬の神経細胞(Pyramidal neuron)が、電気活動によってどのような形態変化を起こすかを調べることである。代表者らは、これまでに海馬のPyramidal neuronの樹状突起上に存在するシナプス棘突起(Dendritic spine)の形態変化を調べてきた。その結果、LTD(長期抑圧)を起こさせる低頻度刺激を局所的に与えると、刺激した近傍の棘突起の体積が急速に縮小したり、消失することを見出した。 本年度は、低頻度刺激がどのような分化段階の棘突起に作用し縮小、消失させるのかを系統的に解析した。方法は、生後2週齢のラット脳から海馬スライスを調製し、CA1領域のPyramidal neuron1個を選び、蛍光色素を使って、ホールセルパッチ記録を行った。同時に2光子励起蛍光顕微鏡または、共焦点レーザー蛍光顕微鏡を用いてイメージングを行った。刺激電極は、棘突起から約20-30μm離れたところに置き、限定された数の棘突起だけに低頻度刺激(1Hz)を与えた。そして棘突起の形態を、大きなもの、小さいもの、長いもの、短いものに分類し、どのような形状の棘突起が形態変化したのかを調べた。 その結果、低頻度刺激は棘突起の形態に拠らず一様に縮小、消失を引き起こしたことがわかった。この結果は、低頻度刺激による棘突起に形態変化が、棘突起の分化段階に依存しないことを示している。これまで高頻度刺激によって引き起こされる棘突起の拡大は、細長い形態をした分化段階の早い棘突起に選択的に起こることが報告されてきたが、本結果より低頻度刺激の場合は、より劇的な変化が神経細胞の形態レベルで引き起こされる可能性が提起された。この現象は、生後の経験によるシナプスの選択的除去を説明する興味深い知見と考えられる。
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Research Products
(2 results)