2005 Fiscal Year Annual Research Report
内在性カンナビノイド受容体リガンドの急性及びアレルギー性炎症における役割の解明
Project/Area Number |
17590072
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
岸本 成史 帝京大学, 薬学部, 講師 (60234217)
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Keywords | cannabinoid / CB2 receptor / 2-arachidonoylglycerol / innate immunity / inflammation / monocyte / macrophage / natural killer cell / chemotaxis |
Research Abstract |
研究代表者はこれまでに、内在性カンナビノイド受容体リガンドである2-アラキドノイルグリセロール(2-AG)が、カンナビノイドC82受容体を介して単球・マクロファージ系の細胞の遊走やサイトカインの産生捉進を引き起こすことを明らかにし、2-AGがCB2受容体を介して免疫応答や炎症反応に関与する可能性を示唆してきた。 本年度は、さらに2-AGが単球・マクロファージ系の細胞の細胞外マトリックスや細胞接着分子に対する接着も促進することを明らかにした。この接着の促進はCB2受容体、Gi/oタンパク質を介して起こり、細胞内カルシウムイオン濃度の増加によるβ_1インテグリンの活性化が関与することが示された。 さらに、その他の免疫担当細胞に対する2-AGの作用について調べ、2-AGがCB2受容体を介してヒトのナチュラルキラー細胞の遊走を引き起こすことも明らかにした。もう一つの内在性カンナビノイド受容体リガンドであるアナンダミドは遊走活性を示さなかった。このことから、2-AGが自然免疫系に関与している可能性が強く示唆された。 マウスの耳介に12-O-tetradecanoylphorbol-13-acetate(TPA)を塗布することにより誘導される急性炎症のモデルを用いて、炎症部位で2-AGの産生が増大すること、TPAで誘導される炎症がCB2受容体アンタゴニストで阻害されること、2-AGを皮膚に塗布することにより炎症が引き起こされることを明らかにした。一方、このモデルにおいてはアナンダミドの産生には変化が見られなかった。これらの結果は、実際にin vivoでも2-AGとCB2受容体が炎症反応において促進的な役割を担っていることを示すものである。
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