2006 Fiscal Year Annual Research Report
内在性カンナビノイド受容体リガンドの急性及びアレルギー性炎症における役割の解明
Project/Area Number |
17590072
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
岸本 成史 帝京大学, 薬学部, 講師 (60234217)
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Keywords | cannabinoid / 2-arachidonoylglycerol / CB2 receptor / allergic inflammation / eosinophil / dermatitis / chemotaxis |
Research Abstract |
平成17年度では、内在性カンナビノイド受容体リガンドである2-アラキドノイルグリセロール(2-AG)が、CB2受容体を介して単球・マクロファージ系の細胞の細胞外マトリックスや細胞接着分子に対する接着も促進することを明らかにした。また、マウスの急性炎症モデルを用いて、炎症部位で2-AGの産生が増大すること、起炎剤によって誘導される炎症がCB2受容体アンタゴニストで阻害されること、皮膚に2-AGを直接塗布することによって炎症が惹起されることなどを明らかにしてきた。 本年度は、カンナビノイド受容体とその内在性リガンドが、急性炎症だけでなくアレルギー性炎症にも関与するのかどうか調べた。まず、オキサゾロンで感作したマウスの耳介にオキサゾロンを塗布することによって接触性皮膚炎を起こした際に、炎症部位において2-AGの産生が増大することが明らかとなった。また、この際に起こる耳介の腫脹がCB2受容体アンタゴニストを塗布することにより抑えられた。一方、CB1受容体アンタゴニストではこのような効果は認められなかった。すなわち、CB2受容体及びその内在性リガンドである2-AGが、アレルギー性の皮膚炎においても、その起炎・増悪化に関与していることが示された。上記の皮膚炎モデルにおいて、オキサゾロンを繰り返し投与して慢性化させた場合の好酸球の浸潤もCB2受容体アンタゴニストによって抑えられた。一方、2-AGおよびそのアナログである2-AG etherは好酸球を遊走させることを示した。これらの結果から、2-AGが少なくとも好酸球などの炎症性細胞の遊走を引き起こすことにより炎症の惹起もしくは増悪化に関与しているものと考えられた。 起炎剤によって惹起される急性炎症が、カンナビノイド受容体アンタゴニストだけでなくアゴニストでも抑えられることがわかった。この現象は、生物学的に安定な合成アゴニストが炎症性細胞の持続的な脱感作を引き起こすことによって本来の内在性リガンドの働きを抑制してしまうために起こることを示した。
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