2005 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子プロファイルと新規DNAメチル化検出法を用いた幹細胞分化機構の解明
Project/Area Number |
17590080
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Research Institution | Shujitsu University |
Principal Investigator |
中西 徹 就実大学, 薬学部, 教授 (30243463)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
早津 彦哉 就実大学, 薬学部, 教授 (10012593)
森 宏樹 就実大学, 薬学部, 助手 (40388989)
岡 剛史 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助手 (50160651)
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Keywords | 幹細胞 / テロメラーゼ / DNAチップ / DNAメチル化 / 骨芽細胞 / 脂肪細胞 |
Research Abstract |
テロメラーゼ遺伝子の導入によって不死化し、さらにクローン化したヒト間葉系幹細胞の遺伝子発現プロファイルを全ゲノム型DNAチップによって解析した。その結果、約20種のクローンのうち、骨芽細胞、軟骨細胞、脂肪細胞のすべてに分化誘導可能な高分化型クローンNo.12においては、分化マーカーとなるような遺伝子の発現が他のクローンに比較して亢進しており、その他にも特徴的な遺伝子発現パターンが見られた。特に注目されるCCNファミリー遺伝子について、クローンNo.12の骨芽細胞分化に伴う発現変化を調べたところ、特に結合組織成長因子CTGFの発現に大きな変化が見られた。即ち、未分化状態の細胞では、CTGFの発現は非常に高く、他の低分化型クローンと比較しても最も発現量の差が大きい遺伝子の一つであったのに対して、細胞が分化するにつれてこのCTGFの発現はしだいに低下した。CTGF以外のCCN遺伝子については、分化途中での過剰発現はむしろ幹細胞分化を抑制するとの報告もあり、CTGFについても、幹細胞の形質維持あるいは細胞分化のコミットメントには重要であるが、細胞分化の進行には重要な役割を果たしていないことが示唆された。また、この幹細胞分化とDNAメチル化の関わりについて調べるため、これら幹細胞クローンの骨芽細胞および脂肪細胞への分化過程におけるグローバルなメチル化の変化について、CpGメチル化アレイを用いて調べた。その結果、骨芽細胞分化について11個、脂肪細胞分化について4個の遺伝子を、分化に伴ってメチル化状態が変化する遺伝子の候補として同定した。またクローンに固有のメチル化変化も見つかった。これらは幹細胞分化の制御やメチル化再構成に関わる鍵となる遺伝子と考えられ、今後その役割について解明を進める予定である。
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