2006 Fiscal Year Annual Research Report
実験てんかんモデル動物を用いた全般けいれん獲得過程のnNOS安定化機構の関与
Project/Area Number |
17590081
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Research Institution | Tokushima Bunri University |
Principal Investigator |
伊藤 康一 徳島文理大学, 香川薬学部, 教授 (30291149)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤井 博匡 札幌医科大学, 保健医療学部, 教授 (70209013)
渡邊 正知 徳島文理大学, 香川薬学部, 助教授 (30306203)
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Keywords | 一酸化窒素 / NOS阻害 / てんかん / プロテアソーム / nNOS / PTZ / 神経接着分子 |
Research Abstract |
我々はnNOSとペンチレンテトラゾール(PTZ)誘発全般けいれん発作との関係の解明を試みた。以前、PTZ誘発全般けいれん発症にnNOS依存的NO産生が直接的に関与していることを報告した。そこでこの報告を証明するためにnNOS欠損マウスを用いてPTZ誘発全般けいれん発作は抑制されると予想し実験を行った。 結果は、驚くべきことにPTZに対する感受性が高まり、高用量PTZ投与では強直性けいれん後死亡し、低用量PTZ(通常けいれんが発症しない用量)においては強直一間代性けいれん発作を発症した。 そこで、まず平常状態のnNOS欠損マウスで低用量PTZで起きる程度のグルタミン酸作動神経の興奮でもNOの負抑制が作動しないため激しいけいれんが発症する。一方、野生型マウスではNMDA受容体依存的にPTZによりNO産生量が急上昇することにより激しいけいれんが発症するとの仮説を立て、NOS阻害薬を用いてこの検証を行った。 野生型マウスにNOS阻害剤であるL-NNA(100mg/kg)を前投与後、40mg/kgPTZを投与したところ間代けいれんが誘発された。次に、nNOS特異的阻害剤である1-(2-trifluoromethylphenyl)imidazole(TRIM)を用いたところ、濃度依存的(0.005〜5mg/kg)に間代一強直けいれんが誘発された。このようなnNOS阻害の程度による野生型マウスの行動変化は、野生型マウスに対する高用量PTZ誘発けいれんとnNOS欠損マウスのPTZ高感受性と非常に一致している。 つまり、これらの結果はnNOS依存的NOには正常状態では負フィードバック機構と働きグルタミン酸作動神経の活動を制御しているが、過剰量NOが産生されるとグルタミン酸作動神経の活動を促進させる二つの相反する作用を有していることが示唆された。また、この影響は小脳で顕著であったことから、全般てんかん発作発症に小脳が重要な関与をしていることが明らかとなった。
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