2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17590083
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
松本 健 独立行政法人理化学研究所, 辻本細胞生化学研究室, 先任研究員 (60222311)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
辻本 雅文 独立行政法人理化学研究所, 辻本細胞生化学研究室, 主任研究員 (00281668)
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Keywords | mRNA / 翻訳調節 / リボ蛋白質複合体 / アフリカツメガエル |
Research Abstract |
動物の卵や初期胚における母性mRNAによる翻訳、あるいは神経のシナプス近傍での局所的翻訳などの例でわかるように、多くの細胞はすみやかな蛋白質合成が必要になる場合に備えて細胞質にmRNAを貯蔵している。これらのmRNAは特定の蛋白質の複合体である貯蔵mRNPとして、安定かつ翻訳が抑制された状態となっている。mRNPの形成は、mRNAの翻訳制御、安定化や局在化のすべてに関わり、mRNAのその後の運命を司ると考えられる。 我々はアフリカツメガエル卵母細胞を用いてmRNPを構成する蛋白質の解析を行ってきた。mRNPの主要構成因子の一つであるFRGY2を含む複合体を免疫沈降によって調製し、この複合体に含まれる蛋白質の同定をおこなった。mRNAのポリA末端に結合するePAB、RNA依存的ATPaseであるXp54などこれまでに知られていたmRNP構成因子のほか、我々がトリ細胞で同定したYBAP1のカエルホモログも見いだされた。さらに、この複合体にRNA依存的に含まれる蛋白質の一つとしてxRAP55を同定し、クローニングを行った。xRAP55はサンショウウオで報告されているRAP55と高い相同性を示し、N末にSm-likeドメイン、C末にRGG配列を複数持つRNA結合蛋白質である。xRAP55は卵母細胞の成長と共に蓄積し、初期発生を通じて存在する。またUVクロスリンクによりRNAと直接結合すること、密度勾配遠心ではmRNP画分に存在することから、xRAP55はmRNP構成因子であると考えられた。xRAP55は無細胞翻訳系および卵母細胞においてレポーターmRNAの翻訳を抑制した。我々の実験結果は、xRAP55が卵母細胞でのmRNPの構成因子として母性mRNAの翻訳抑制に深く関わっていることを示唆するものである。
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