2006 Fiscal Year Annual Research Report
血管内皮細胞の産生する分子による神経系前駆細胞の増殖と分化の制御
Project/Area Number |
17590085
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Research Institution | Institute for Developmental Research, Aichi Human Service Center |
Principal Investigator |
浅野 富子 愛知県心身障害者コロニー発達障害研究所, 神経制御学部, 部長 (70100154)
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Keywords | 大脳 / 神経系前駆細胞 / エンドセリン / G蛋白質 / 増殖 / 細胞接着 / プロテインキナーゼC |
Research Abstract |
胎生期の脳は、神経系前駆細胞の活発な増殖と分化により発達していくが、様々な細胞外からの刺激分子により制御されている。増殖を促進する分子としては、FGF-2がよく知られているが、私たちはこれまでに、エンドセリン(ET)が細胞レベルでも、胎仔の脳内でも増殖を促進することを示した。この増殖促進はフィブロネクチン存在下で増強され、接着依存性であった。ETにより増殖した細胞は神経細胞、グリア細胞の他、平滑筋細胞にも分化し、昨年度は平滑筋細胞への分化機構について検討した。今年度は、ETによる増殖作用の分子機構について研究を行った。まずETによる神経系前駆細胞増殖促進に関わるG蛋白質について最近開発されたGq/11の特異的阻害剤、YM-254890とGiの阻害剤、百日咳毒素を用いて検討した。次に細胞増殖の接着依存性ついて、細胞接着の中心分子インテグリンに集積するFAKとpaxillinのチロシンリン酸化を指標にして検討し、次の結果を得た。1)ETによる細胞増殖やDNA合成促進は細胞外マトリックス依存性であるが、ERKの活性化は非依存的であった。2)ERKの活性化にはGi/Rasと、Gq/11/proteinkinase C(PKC)経路が関与していた。3)ETはFAKやpaxillinのリン酸化を上昇させ、これはET-B受容体アンタゴニスト、YM-254890、PKC阻害剤で抑制された。 以上の結果から、ET受容体により活性化されたGq/11はPKCを介して、Gi/Ras経路と共にERKを活性する。また、活性化されたPKCは同時にインテグリンシグナルも活性化してETによる細胞増殖促進の接着依存性に寄与していると考えられる。
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Research Products
(5 results)