2006 Fiscal Year Annual Research Report
選択的酵素阻害を目的としたレトロインバルソ型医薬品の創製
Project/Area Number |
17590096
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
中込 和哉 帝京大学, 薬学部, 教授 (70272929)
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Keywords | レトロインバルソ型ペプチド / アンジオテンシン変換酵素阻害 / タンパク質の酵素分解フラグメント / 抗高血圧作用 / VAW / VSW / トリプトファン |
Research Abstract |
木研究の最終目標は,これまで知られていないヒトタンパク質中の抗高血圧作用ペプチドにスポットを当て,高血圧症の予防もしくは治療に利用できる,ヒト由来ペプチドに基づいたツールを創製することである。本研究では,これらのヒトタンパク質由来の新規なアンジオテンシンI変換酵素阻害ペプチド(ACE)を発見し,そのtransition-states analoguesからデザインされるレトロインバルソ型の選択的酵素阻害ペプチドアナログを創製することで新たな医薬品素材を提供する。 これまでの研究成果から,見出された活性ペプチドのうちC末端にトリプトファン(Trp)残基を有するものに,アンジオテンシンI変換活性のみを強く阻害しブラジキニン分解活性はあまり阻害しない,という選択的阻害が見られ,既存の医薬品の欠点である空咳等の副作用を減ずる効果のある新規医薬品の開発も期待できることがわかった。 [研究の成果] 1.レトロインバルソ型ペプチドの末端Trpの電荷をアミノ基(+)からカルボキシル基(-)に変えるための合成ユニットmTrp-OtBu(Trpのアミノ基をカルボキシル基に変えたもの),t-buty12-(indol-3-yl)methylmalonateを合成した。合成はグラミンとマロン酸t-ブチルエチルエステルをトリn-ブチルフォスフィンにより結合させた後にアルカリ処理を行い,mTrp-OtBuをラセミ体として得た。 2.mTrp-OtBuを用いてレトロインバルソ型ペプチドアナログ,m_<d,1>Trp-_dAla-_dVal-NH_2,を固相法と液相法により合成し,HPLCを駆使してm_dTrp-_dAla-_dVal-NH_2のみを分取した。 3.m_dTrp-_dAla-_dVal-NH_2のACE阻害活性を測定したところ,ブラジキン分解活性は阻害せずアンジオテンシンI変換活性のみを強く阻害するという,明らかな選択阻害を示したが,阻害の強さは残念ながらL-型ノーマルペプチドVal-Ala-Trpの約1/20と弱いものであった。
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Research Products
(1 results)