2007 Fiscal Year Annual Research Report
Chemical Pharmaceuticsを指向した創薬化学研究
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17590099
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Research Institution | Tokyo University of Pharmacy and Life Science |
Principal Investigator |
林 良雄 Tokyo University of Pharmacy and Life Science, 薬学部, 教授 (10322562)
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Keywords | 化学薬剤学 / 薬学 / プロドラッグ / 有機合成化学 / 癌 / タキソイド |
Research Abstract |
本基盤研究は、有機化学を基盤に創薬における薬剤学的価値の創造を追求する新しい学問領域Chemical Pharmaceuticsを主題に創薬化学研究を進めるものであり、今期は最終年度であった。その第一のテーマである化学的メカニズムに基づく水溶性プロドラッグの研究においては、分子内にヒドロキシ基を有するタキソイド系抗腫瘍剤の薬剤学的高付加価値化をめざし、"0-N分子内アシル転位型"水溶性プロドラッグの展開を図ってきた。今期においては、酵素に認識されるアミノ酸を導入した誘導体(Arg-Isotaxel)の合成に成功した。このものは高い水溶性を有すると共に、Isotaxe1の安定化を図ることができた。さらに高水溶性でかつ光応答性の保護基を有する新しい0-N分子内アシル転位型光応答性誘導体の開発に成功した。この誘導体では、光照射下で保護基が切断されること、次いで生じた水溶性プロドラッグIsotaxelがパクリタキセルへ効率的に変換されることを確認した。腫瘍部位に光を照射することで、腫瘍部位特異的な薬効の発現を可能とする誘導体のモデルとして、その有用性を報告した。一方、新しい作動メカニズムの開発として、自己分解型のスペーサーを有するオリゴアルギニンペプチドを利用した消化管吸収能改善手法を提案し、その蛍光標識モデル化合物を合成すると共に、今期においては抗ウイルス剤アシクロビルに応用することができた。薬剤を内包可能な新規機能性乳酸ポリマーとして、乳酸構造の側鎖部分にアミノ基を有する高分子体、あるいはSH基を捕捉できる官能基をもつ高分子体の創製に成功した。後者については、さらに蛍光物質を封入した微粒子を調製し、経時的な蛍光物質の放出を検討した。その結果から、化合物や遺伝子等の輸送担体として、利用できる可能性が示唆された。
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Research Products
(5 results)