2005 Fiscal Year Annual Research Report
核内レセプター変異疾患に対する治療薬の分子設計と合成
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17590100
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Research Institution | National Institute of Health Sciences |
Principal Investigator |
栗原 正明 国立医薬品食品衛生研究所, 有機化学部, 室長 (20205206)
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Keywords | 核内レセプター / 薬物設計 / レセプター変異疾患 / コンピュータモデリング |
Research Abstract |
最近、癌の分子標的薬等のタンパク質の変異(DNAの変異)によって引き起こされる様々な疾病に対する薬物の開発が注目されている。これらの薬物の開発が可能となったのは、ゲノムの解析、タンパク質の構造化学、コンピュータによるモデリング技術、精密有機合成等の進歩に基づくものである。核内レセプターの変異によって起こる疾病があり、これらの疾病は遺伝子の変異によって起きるもので、難病とされているものが多い。当研究者は、これらの疾病に対する薬物開発に興味を持った。これは遺伝的に起こる疾病に対する化学的なアプローチと考えられる。 本研究では、核内レセプター変異疾患に対する薬物の分子設計と合成をおこなう。特に、ビタミンD受容体機構異常症(特定疾患)の治療薬の開発を目的とする。つまり、異常レセプターに結合する救済型ビタミンDを設計することである。さらに、ここでの方法論を、他のレセプター異常症治療薬の開発に応用する。 天然型の活性ビタミンD_3では3つの水酸基がレセプターと2つずつ合計6つの水素結合を形成している。変異型ビタミンDレセプター(VDR)は、274のアルギニンがロイシンに変異しているので天然型の活性型ビタミンD_3の1位の水酸基と水素結合を作れず、親和性が低く。遺伝的くる病が起きる。そこで、2位に、水酸基をもつアルキル基(アンカー部)を導入し、142のトレオニンと水素結合を形成し、レセプターとの結合を強める分子の設計を行い、合成を行った。実際、変異レセプターとの結合能を調べたところ、天然体リガンドより数倍増強した。
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Research Products
(6 results)