2005 Fiscal Year Annual Research Report
多環芳香族炭化水素の抗男性ホルモン作用におけるアリル炭化水素受容体の作用機構
Project/Area Number |
17590101
|
Research Institution | Doshisha Women's College of Liberal Arts |
Principal Investigator |
木津 良一 同志社女子大学, 薬学部, 教授 (80143915)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
早川 和一 金沢大学, 自然科学研究科, 教授 (40115267)
|
Keywords | 抗男性ホルモン作用 / 多環芳香族炭化水素 / アリル炭化水素受容体 / 男性ホルモン受容体 / タンパク複合体 / 免疫沈降 / 代謝物 / LNCaP細胞 |
Research Abstract |
多環芳香族炭化水素(PAH)の抗男性ホルモン作用におけるアリル炭化水素受容体(AhR)の作用機構を明らかにする研究を行った。PAHでAhRが活性化されるとPAHの代謝が促進されるので、先ずPAH代謝物の抗男性ホルモン作用を評価した。PAHとしてbenzo[a]pyrene、chrysene、pyreneを異物代謝酵素で処理したところ、各化合物の1-OH体が生成することが明らかになった。そこで、これらの1-OH体について抗男性ホルモン作用を酵母two-hybrid法で評価した結果、これら代謝物は抗男性ホルモン作用を示すものの作用は弱く、PAHの抗男性ホルモン作用における代謝物の寄与は小さいものと考えられた。次に、細胞内の男性ホルモン濃度と男性ホルモン受容体(AR)発現レベルに及ぼす影響を検討した。PAHで処理した細胞と処理していない細胞で有意な差は見られず、PAHの抗男性ホルモン作用は、細胞内の男性ホルモン濃度の低下またはAR発現レベルの低下に基づくものではないことが明らかになった。次に、ARとAhRの間の複合体形成について検討した。PAHで処理しないまたは処理した細胞の破砕液に抗AhR抗体を加えて免疫沈降し、沈降物中のARをwestern blot法で解析した。その結果、PAHで処理なしでは抗AhR抗体沈降物中にARは検出されなかったが、PAH処理した場合ではARが検出され、PAHで処理した細胞内では、ARとAhRが複合体を形成することが明らかになった。以上の本年度の研究から、PAHの抗男性ホルモン作用は、PAHにより活性化されたAhRがARと複合体を形成し、ARの転写因子としての機能を阻害することに基づくと考えられた。
|